カレッジマネジメント223号
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24リクルート カレッジマネジメント223 / Jul. - Aug. 2020研究開発する「AI研究開発者」というより、AIを活用してビジネスの課題を解決に導く「AIユーザー」であり、そのユーザーにAIを活用した新しい問題解決手段を提供できる「AIスペシャリスト」だ。日本IBMと共同開発した同プログラムは、今後AI活用人材へのニーズが高まる企業にも使ってもらえるものになっていると村田学長は言う。当初から現場でプログラム開発を統括してきたのが、学長補佐も務める理工学部情報科学科の巳波教授だ。巳波教授によると、プログラム開発当初、様々なAI人材育成プログラムを調査したが、AI技術を研究開発する人材は育成されているものの、現場でどう「活用する」かを考え、実装していける人材育成に焦点を当てたものはなかった。それゆえ、何をどう教えるべきか、膨大な教育内容をどう体系化するかを考えながら、一から作り上げたという。重視したのは、知識修得だけでなく、実践的なAI活用力が身につくよう、自分なら現場でどうするのかを考えさせるアウトプット重視のPBL(Project Based Learning)型演習を多く入れること。日本IBMの若手社員にも大学生の時に学びたかったことを提案してもらいながら開発を進めたと話す。こうして2019年4月から開講が始まった「AI 活用人材育成プログラム」の全体像は図1にみる通りだ。入門→基礎→発展へと段階的に構造化された、10科目からなる積み上げ型プログラムである(全20単位で卒業単位として認定)。初学者であっても、つまり文系・理系の境界を越えてAIやプログラミング等に関する特別な知識やスキルがなくても、履修可能なように設計されている。また、どの学部の学生でもあっても受講可能だ。それゆえ受講希望者も多い。入門科目の「AI活用入門」は初年度480人だった受講定員を、2年目の今年は900人(春学期・秋学期合わせて)までほぼ倍増させたものの、それでも倍率は約2倍で抽選から漏れた学生も少なくなかったという。ただ、1年生だけでも全学部合わせて5700人となる状況を考えると、もっと受講枠を広げる必要がある。今後は、受講希望の全学生が受講できるよう、e-ラーニング教材を開発中だと巳波教授は言う。本プログラムは全学部に開かれたものとして設計されていて、学生らもその特徴を十分に活用してくれていると巳波教授は語る。つまり、受講生が理工学部に偏ることなく、むしろ経済学部や商学部をはじめ文系学部からの受講生が大変多いそうだ。巳波教授は、意欲的な学生が集まってきていると感じている。「学生の学ぶ意欲に点火できたことが大きな成果ではないでしょうか」。巳波教授はそう語る。村田学長は、こうしてAIに対する学生の関心を高めることが成功できている背景には、学生自身も将来に対する危機感を持っており、激動の時代の中で生き抜くために自ら価値を高めようとしているのではないかと見る。このプログラムの受講生たちに求められるのは、「AI活用」という新しい考え方を身につけることだが、それだけでは十分ではない。巳波教授は、授業でも、各学部で学んでいる専門的な知識・スキルとAIとの組み合わせを常に考える図1 AI活用人材育成プログラム全体像(カリキュラムツリー)ITスキルデータサイエンススキル+ビジネス(基礎)スキルAIスキルAI活用実践演習AAI活用導入演習A(Javaによる Webアプリケーションデザイン)<200><150>AI活用導入演習BAI活用データサイエンス実践演習Ⅱ<250>AI活用データサイエンス実践演習Ⅰ<200>AI活用入門 <100>AI活用発展演習Ⅱ<350>AI活用発展演習Ⅰ<300><150>AI活用実践演習B(Pythonによる機械学習・深層学習)<200>AI活用実践演習C(Webデザイン)<200>発 展基 礎入 門AI活用人材育成プログラムの展開と成果
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