カレッジマネジメント223号
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26武蔵野大学の歴史は古い。その誕生は、仏教学者・高楠順次郎博士が東京都中央区築地に宗門関係学校(浄土真宗本願寺派)を創設した1924年までさかのぼる。2024年には100周年を迎えるわけだが、その顔は、創設からの70年とそれ以降の30年とで大きく異なっているといってよい。そもそも武蔵野大学は、女子のための学校として出発した。建学の精神は、仏教の根本精神を基礎とする人格教育。長らく文学部のみの単科大学であり、四年制の全学生数は2,000人ほどだった。しかしながら90年代以降、理事会のイニシアティブのもと、積極的な改革が試みられるようになる。新学部・大学院等の創設、共学化、新キャンパス(有明キャンパス)開設を経て、今や東京でも屈指の総合大学になった。2020年5月現在、学部数11、研究科数12、全学生数も優に9,000人を超えている。なぜ、こうした成長が可能なのか。西本照真学長がインタビューで語ってくれたことに、その答えはあった。「次の時代に求められるものが何か、我々理事者の最大の関心事です。社会のニーズに敏感でありたい、そしてそのニーズに応えていきたいと、常に意識していますね」。鍵は理事会の強い熱意と行動力にあるようだ。そのような武蔵野大学が2019年4月に設置したのが「データサイエンス学部」である。「データサイエンス」を冠する学部を展開する大学としては、滋賀大学、横浜市立大学に続いて3例目、私立大学では初となる。設置にあたってキーマンになったのは、上林憲行学部長だ。上林学部長は、設置準備の時期を「大変な作業でしたが、カリキュラムデザインと教員人事を任せてもらえたので、やりがいもありましたし、やりやすかったです」と振り返る。結果として、立ち上がった学部はかなりの注目を集めた。入学定員70名に対し、志願者数は2019年度1,764名、2020年度2,215名。倍率にすれば、2019年度25.2倍、2020年度31.6倍。驚きの数値である。では、上林学部長は具体的にどのような教育を目指したのか。一言で言えば、「従来型の大学教育への挑戦」である。「自ら学ぶ力をつける」ということを最も大事な目標とし、学生を他律的・受動的な環境に置くことはしない──ただ、これだけの表現であれば、目新しさは感じられないかもしれない。武蔵野大学データサイエンス学部の突出したところは、以上の目標のために全科目で「講義なし」「テストなし」という方針を徹底したところにある。「講義をして丁寧に教えるというスタイルは全面的に採用しません。では、どうするかという話ですが、基本的に学生に自分で考えてもらうために正解のない課題に取り組んでもらいます。学生はその課題解決を通じて個人で考えるだけでなく、学修リクルート カレッジマネジメント223 / Jul. - Aug. 2020西本照真 学長私立大学初のデータサイエンス学部をトリガーにAI-Ready-Universityを目指す武蔵野大学データサイエンスへの熱い想い従来型大学教育への挑戦3CASE
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