カレッジマネジメント223号
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38リクルート カレッジマネジメント223 / Jul. - Aug. 2020高知リハビリテーション専門職大学(以下、高知リハ)は高知県土佐市で開学した専門職大学だ。1968年に開学した高知リハビリテーション学院を前身とし、古参の理学療法士(PT)養成機関として全国に人材を輩出してきた50年もの歴史を持つ。制度初回の認可申請において、保留なしでストレート認可された唯一の学校である。その設置趣旨を振り返りつつ、開学後の状況を小嶋 裕学長にうかがった。専門学校を専門職大学に改組した理由は、制度設置趣旨でもある「豊かな創造力と高度な実践力」を持つ医療人材を養成するためだ。リハビリテーション職は欧米では修士以上の高度専門職化が進んでおり、そうした国際水準に合わせるべく、学院時代から四大化志向が強かったという側面もある。四大化を見据え、従来から教員は大学設置基準上で必要な研究実績を重ね、今や全体の2/3が修士以上のキャリアを持つ。だからこそ、今回の申請に当たっても教員を公募せず、既存のリソースと伝統に裏打ちされた人脈や紹介等で揃えることができたという。また、施設設備も大学用に設計し、2014年には図書館も造っていた。初回審査で苦戦した学校が多かったといわれる教員審査とファシリティにおいて、早々に着手していたアドバンテージは大きかったことだろう。もう一点、四大化志向が強かった理由には県の状況もある。2019年学校基本調査によると、高知県の最新の大学進学希望者は2436名、県内残留率は24.2%。これは県内に大学が5校(2020年4月現在)しかないことも要因の1つである。高等教育の過疎地域は人口減少と少子高齢化が同時進行しているエリアだ。新たな大学の誕生は歓迎される動きであろう。高知リハの場合、土佐市からは「地域実践」「地域連携」「地域貢献」の3つの観点で地域創生を担うことを期待されているという。「地方大学として、地域創生は外せない輪です」と小嶋学長は言う。では、地域で実践・連携・貢献を担うためにどのような人材養成を行うのか。小嶋学長は、「従来のリハビリテーションのスペシャリストにゼネラリストという観点を入れたい。専門的技能を持つだけでなく、全体を俯瞰し、マネジメントや調整を担える人材を育成したい」と話す。そのために大きな役割を果たすのが展開科目だ。理学療法学(PT)専攻では、子どもから高齢者まで幅広い年代における健康課題解決力とマネジメントに関する基礎知識を養う目的で、健康課題の理解(生涯スポーツ論、学校保健論)、組織における事業運営の理解(企業論、経営組織論)、事業の発案・実行の理解(データ分析論、起業論)等を配置した。作業療法学(OT)専攻は、障害のある人や高齢者等の生活課題に対する解決力、自立生活支援のための新たなサービスや機器開発等ができる創造力を養うため、地域の特性理解(土佐地域資源論)、対象者への教育と支援技術の理解(特別支援教育論)、社会課題への解決手法の理解(ロボット技術活用論)、生活を支えるサービス等の理解(地域生活とサービス)等を置いた。言語聴覚学(ST)専攻は、社会の情報化に伴うコミュニケーション手段の変容を背景小嶋 裕 学長従来からの四大化志向がもたらしたアドバンテージ地域創生に資する人材を養成する高知リハビリテーション専門職大学設置年度2019地域創生の要として地域社会で活躍するセラピストを養成する
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