カレッジマネジメント223号
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39リクルート カレッジマネジメント223 / Jul. - Aug. 2020に、言語理解が困難な人のコミュニケーション課題解決のため、地域における情報の理解(広告論)、情報伝達の手法の理解(情報メディア学入門)、情報の表現方法の理解(マンガ基礎実習、カラーコミュニケーション概論)等を配置した。カリキュラムの全体構成は、PT専攻を例として図表に示した。教育目標に合わせて4つの科目区分を構成し、体系的にカリキュラムを編成している。開学後の状況について、小嶋学長は「学院時代よりも目的意識がしっかりした、コミュニケーション能力が高い学生が多いように思う」と話す。入試により基礎学力が担保されていることから教育の吸収が速く、また地域で医療職として働くことへの覚悟がしっかりある学生が多いという。しかし2019年の定員充足率は88%、2020年は80%と、開学以降2年連続で定員割れだ。この要因について、小嶋学長は前述した高知県の人口動態や県外流出率に加え、制度を含めた学校の認知や業界の実態認知が低い現状を挙げる。「高校進路指導の現場では未だに専門職大学を知らない先生もいる。また、リハビリテーション人材がまだまだ不足しているという実態もあまり知られていない」。とはいえ、兆しもある。一期生と二期生を比較すると、県外生は10%から20%に増加した。募集圏は主に四国内であり、「もっと本州から来てもらえるようにしたい。将来的には入学生の1/3は県外から欲しい」と小嶋学長は期待する。根拠は、県内の他大学の入学者の7割は県外からの進学であることだという。なお、高知県の18歳人口は、2019年6585名から2031年には5243名と約2割減少する。大幅な人口減少を前に、県外からの募集導線を確保しておくことは重要だ。また、それ以外の属性にも変化が見られた。一般入試合格者は昨年10%から今年18%に増加し、相対的に高学力層が増加した。学科ごとの男女比はPTが男子6:女子4のままだったのに対し、OTは6:4から3:7に男女比が逆転し、STは4:6から2:8と、女子比率が一層高まった。これまでに専門職大学で設置が義務づけられている教育課程連携協議会を2回実施し、医療職だけでなく自治体関係者等からも幅広く意見を聞いた。「大学を取り巻く様々な観点からセラピストに期待することの多様さに刺激を受けた」と小嶋学長は微笑む。特に、単なる医療従事者ではなく、より俯瞰的に物事を見て、積極的に社会に関わることができるセラピストへの期待が高いという。「今までは病院での勤務が主たる卒業後の進路でしたが、起業や行政で地域に働きかける立場も考えられる」。疾病予防や健康増進の領域も含めて診ることができるような、ライセンスを持って地域で活躍するセラピストを育てたいという。「まずは完成年度を迎えて社会的評価を受けるまで教育を磨き続ける」と小嶋学長は締めくくった。新しい教育が地域に根付き、地域の健康医療の要となることを期待したい。 (文 鹿島 梓)第2特集:専門職大学制度の挑戦専門職大学化に伴う学生の質の変化病院ではなく地域社会で活躍する人材輩出を1年次2年次3年次4年次基礎科目職業専門科目専門支持科目専門基幹科目展開科目総合科目図表 PT専攻カリキュラム現代社会における広範な課題の理解のための学修「人間の探求」「社会の探求」「地域の探求」「自然の探求」「健康の探求」「外国語の探求」人体の構造と機能及び心身の発達の理解「基礎医学」多職種連携・協働の理解「保健医療福祉の理念」理学療法の統合「理学療法臨床実習Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」理学療法に関連する他分野の理解「理学療法展開科目群」大学教育の統合「応用理学療法学」理学療法の臨床現場で求められる知識・技術の修得「基礎理学療法学」「理学療法評価学」「理学療法治療学」「地域理学療法学」疾病と障がいの成り立ち及び回復過程の促進の理解「臨床医学」
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