カレッジマネジメント223号
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42リクルート カレッジマネジメント223 / Jul. - Aug. 20201951年の創立以来、運営する日本電子専門学校から数多くのエンジニア、クリエイターを輩出してきた学校法人電子学園。同法人が2020年4月に新たに開学したのが、情報経営イノベーション大学、愛称「iU(あいゆー)」である。「これまで日本の大学がやってこなかったことを全部やりたい、という考えで作った」と話す中村伊知哉学長に、設立の背景や育成を目指す人材像についてうかがった。情報経営イノベーション大学(以下、iU)が育成を目指す人材像について、中村学長は「ICTとビジネスの知識を持ってグローバルに活躍し、世の中を変えていくことができる人材」と話す。背景には、郵政省、MITメディアラボ、スタンフォード日本センター研究所、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科を経てきた中村学長が長年抱いていた、日本の大学に対する課題意識と、産業界のニーズがあったという。「私が長年携わってきたITやデジタルの分野では、GoogleやFacebookを始めとした世界的なサービスの多くが、現地の大学から生み出されてきました。一方、日本では、ウォークマンや初音ミク等、企業が生み出した素晴らしい製品・サービスはたくさんありますが、大学から生まれたものはない。日本でも、大学がプラットフォームとなって様々なイノベーションを起こし、新しいものを生み出すべきではないか、と考えてきました」「慶應のメディアデザイン研究科の立ち上げに参画したのも、この課題感に合致したからでしたが、伝統ある組織の中で新たな挑戦を進めていく難しさも感じましたし、産業界の需要は、より即戦力となる人材にあることも実感。『産業界と連携した大学をゼロから作らなければ、世の中のニーズに真に応えられる人材は育てられない』という結論に達したのです」。この中村学長の考えに、専門職大学の構想を練っていた電子学園が共鳴し、iUの設立構想が立ち上がったという。開学に向け、さまざまなIT・通信系企業に人材ニーズをヒアリングしたところ、高等教育機関への多様な期待の存在を実感したそうだ。「『セキュリティーやAI、IoT等の分野を学んだ人材をたくさん採用したいが、即戦力が足りないので、育てるところに関わっていきたい』『大学と連携して新しいサービスを生み出したい』『産学連携の取り組みに関わる企業や人材のコミュニティーに入り、一緒に面白いことを仕掛けたい』等、様々な声を頂きました。大学を使って、もっと経済や産業の役に立つことができる芽があるのではないかと感じましたね」。そうしてiUが設計したのが、「ICT」「ビジネス」「グローバルコミュニケーション」を3つの柱とするカリキュラムだ。プログラミングやシステム開発等、情報通信技術に関する基本的な知識・スキルから、セキュリティーやIoT、AIなどICT分野のトレンドまでを網羅的に学習するとともに、企業の戦略や組織に関する理論、英語はもとより文化的背景の異なる人々と協働するために必要となる文化の違いやビジネスのルール等を身につけ、イノベーションを起こせる人材中村 伊知哉 学長産業界と連携した大学をゼロから作る「ICT」「ビジネス」「グローバルコミュニケーション」の3つの柱情報経営イノベーション専門職大学設置年度2020「ICTとビジネスの知識でグローバルに活躍できる人材」の育成を目指す

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