カレッジマネジメント223号
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43リクルート カレッジマネジメント223 / Jul. - Aug. 2020の育成を目指す。出口として見据えているのは、IT業界に限らない、全産業。さらには、自ら会社を作り、経営していく人材の輩出も目指すという。「ここ20年間で、どの産業でもICTが使われるようになり、各業界でICTの知識を持ってビジネスを切り盛りできる人材の重要性が高まっています。そこに応えていきたい。高校生にも、情報通信技術を学ぶというよりは、ICTをベースにしてビジネスを学ぶ学部だよと説明しています」。4年間のカリキュラムは、おおまかに「1・2年次に情報と経営、英語をがっつり学び、3年次に半年間インターンシップに行き、戻ってきたら起業に向けて取り組むという流れ」と中村学長は話す。大きな特徴は、「産学連携」と「全員起業」の2つだ。「ほとんどの学習は、具体的な産学連携のプロジェクトを進めながら学ぶ、プロジェクトベースの形で行います。連携する企業は200社超。専任教員も8割近くが産業界出身で、産業界を中心に200人超の客員教員も迎えます。また、3年次の全員必修のインターンシップは計640時間。システム開発や保守等を行うようなIT系企業と、ICTを用いて経営企画や商品開発等を行うような企業の計2社に行きます」。「全員起業」については、起業のための知識やスキルを学ぶ必修科目「イノベーションプロジェクト」を1年次から4年次まで設け、学生全員が4年間かけて起業を目指すこととしている。中村学長は、「失敗を含めて、起業のプロセスで学ぶことは大きい」と期待を込める。「魅力的なアイデアやビジネスプランを描いても、そのプロセスでうまくいかないこと、例えば、投資家からの評価を得られない、スタッフが集まらない、やっと起業してもお客さんが来ない、といったことはたくさんあります。そのつまずきや失敗こそ学びのタイミング。全員がもうかるビジネスを立ち上げる必要はなく、社会や地域の課題を解決するNPOを立ち上げたり、そのためのアプリを作ったりと、内容や規模の大小はいろいろあっていいと思っています。全員が起業した結果、目指すは『就職率0%』でいきたい」。支援体制として、専任教員と職員が2名1組となり、「イノベーションマネジャー」として個々の学生をサポートする体制を整えるとともに、独自の事業により起業資金の調達を担う「i株式会社」も設立したという。こうしてイノベーションを起こせる人材を育成しながら、「学校や学びに携わる人々をつなぐコミュニティーのハブとなり、学校発のムーブメントを作っていきたい」と将来像を描く。「1学年200名の小さな大学なので、iU単独でできることはとても小さい。だからこそ、私たちが『超学校』と呼んでいる、チャレンジする学校や学部、研究室、教員をつないだコミュニティーを作り、iUがハブとなって大学発のムーブメントを作っていきたいですね。既に、起業とeスポーツの分野について、複数の学校と連携の話を進めています」。iUが掲げる建学の精神は、「変化を楽しみ、自ら学び、革新を創造する」。「変化の仕方は予測できないものの変化することだけは確実に分かる時代に入ったこれからは、自ら学び続けることによって変化を楽しめる人しか生きられなくなる。iUでの4年間を通して、世の中に出ても学び続けるくせをつけることで、革新を創造する人になれる」と話す中村学長。その大きな挑戦に期待したい。(文 浅田夕香)第2特集:専門職大学制度の挑戦『超学校』で大学発のムーブメントを起こす情報経営イノベーション専門職大学グローバルコミュニケーションビジネス創造力ICT連携企業・団体・行政・金融機関企業支援、インターンシップ、プロジェクト型授業、教育コンテンツ提供・共同開発・研究日本の未来を明るくするイノベーター学生情報経営イノベーション専門職大学では、産業界と連携を図って、学生を育成します。大学で学んだことを、ビジネスの現場で試してみるなど、学生のうちから経験値を高めていきます。iU教育概念図

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