カレッジマネジメント223号
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47リクルート カレッジマネジメント223 / Jul. - Aug. 2020材に必要な展開科目を設定した。「児童期」では、保育園、小学校、学童保育等で活躍するOTを目指す学生向けに、「児童期地域生活適応論」「児童期地域生活適応論実習」を置いた。「成人期」では、就労移行支援事業所、グループホーム等での活躍を想定し、「成人期地域生活適応論」「成人期地域生活適応論実習」を置いた。「老年期」では、通所介護施設、特別養護老人ホーム等での就労を想定し、「老年期地域生活適応論」「老年期地域生活適応論実習」を用意した。いずれもOTがまだ介入していない領域の現状を学び、実習を通して各期におけるOT支援の可能性を模索するものである。藍野大学とびわリハにはどちらにもPT・OT養成課程があり、一見似た学部学科構成である。違いを問うと、「大雑把に言えば、従来の病院完結型=患者さんを診るのが大学で、地域完結型=未病領域や健康増進等を含め地域ニーズに応えるのが専門職大学」と小山理事長は言う。同じ外見でも新たな人材養成へのチャレンジなのだ。藍野大学は、学問的色彩が強い大学としての強みを活かして「医療の高度化・専門化」に対応し、医療現場において、高度な実践力を持ってチーム医療に貢献できる人材を養成する。一方びわリハでは、「地域共生社会の実現に向けたリハビリテーション専門家の養成」を人材養成の主眼に置く。即ち、医療機関に限らず、ライセンスを持つ人材が広く地域に出ていくイメージだ。「だからこそ、これまでのリハビリテーション専門職の在り方を刷新するための、『高度な実践力』と『豊かな創造力』を制度趣旨とする専門職大学が適切な学校種であると考えました」(小山理事長)。なお、申請業務における最大の困難は教員審査だったという。「専門学校の実績を支えてきた教員もびわリハが引き継いでいますが、それだけでは足りません。学位を所持する教員は実務未経験者が多く、逆に実務家には学位がない、といった状況の中で、4割の実務家教員の確保が難しかった」と小山理事長は回顧する。それだけ「従来とは違う教育機関」ということなのだが、課題としてその制度自体の認知不足がある。「本学に限りませんが、地域でも高校でも、専門職大学という名前自体は知っていても、従来の大学との違いについてはまだまだ認知が低いのが課題」と小山理事長は言う。初年度の募集結果は定員充足に至らず、県外からの入学者はほぼいない状態で、今後は制度も含めた大学認知と広報強化が課題であるという。「地域ニーズに誠実に向き合う、頼られる存在でありたい」。小山理事長の言葉は力強い。 (文 鹿島 梓)第2特集:専門職大学制度の挑戦27歳26歳25歳24歳23歳22歳21歳20歳19歳18歳17歳16歳最短大学院博士課程25歳〜大学院修士課程23歳〜大学学士課程 19歳〜高  等  教  育中等教育後期課程16歳〜保健師・学士を目指す保健師を目指す学士を目指す理学療法学科(4年間)作業療法学科(4年間)理学療法学科(4年間)作業療法学科(4年間)臨床工学科(4年間)看護学科(4年間)第一看護学科 (2年間)第二看護学科(3年間)専 攻  科(1年間)大学院看護学研究科 後期課程(設置構想中)(3年間)大学院看護学研究科 前期課程リハビリテーション学研究科(設置構想中)(2年間)3年次編入びわこリハビリテーション専門職大学藍野大学藍  野  高  等  学  校藍野大学短期大学部医療系四年制大学・短期大学への進学を目指すメディカルサイエンスコース(3年間)二年制進学課程または看護系四年制大学への進学を目指す衛生看護コース(3年間)メディカルサイエンスコース(3年間)修士を目指す博士を目指す医療の高度化のプロと地域に出ていくプロを2つの大学で養成する図表 法人内の多様な展開

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