カレッジマネジメント223号
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52リクルート カレッジマネジメント223 / Jul. - Aug. 2020学部の必修科目「簿記I/II」といった基本的な科目から作成に着手している。例えば、英語のCan-doリストは、リスニング、リーディングなど5つの項目について、初学者のA1から熟練者のC2まで6つのレベルで評価するルーブリック表だ。レベル区分はEUで作成され日本を含む各国で使われているCEFR(セファール)に合わせている。「基礎コンピュータ」科目のCan-doリストも、インターネット利用、文書作成などの項目について、CEFRと同じくA1からC2までの6レベルで評価する形に揃えた。科目ごとのCan-doリストをこの形で作成していけば、英語とそのほかの必修科目のレベル感が同じように見られることになる。「さらに必修科目を超えて全科目に行くと、もっと色んなものが可視化していくと思っているところです。すぐにはできませんが」。学生の自己評価と教員の評価との関係、科目ごとの達成目標との連携等、難しい問題は多い。また、教員の負担の大きさも、課題として残されている。しかし、学修成果を学生一人ひとりに対して可視化する仕組み作りは、大学として大きな目標と寺内学長は考えている。推進に当たる学内の体制は、職員を含めどうなっているかという問いには、「ハイブリッド型サポートシステム」という名前がそのまま答えになっていた。「主に教員と職員のハイブリッドという意味です。教員、職員のほか、理事会、同窓会、父母の会等、全学あげて学生をサポートすることは前提ですが、特に今回は『教員だけで物事は動かないよ』ということを強調しました」。教員に対しては3学部の専任・任期付教員全員が集まる連合教授会、職員に対しても同様の形で、趣旨や実施内容を全員に周知しながら、協力体制を作っている段階という。「Can-doリストのほかにも、ディプロマサプリメント等、複数の事業を予定しています。それを一度に全部動かすのではなく、浸透していく形になるよう、留意しています。小さな組織で実験をしてから次のステップというように、できるところから少しずつでも、時期をずらしながら準備し、実践に動かしていきます」。「現代的高千穂教育」は、2020年度に本格的に開始する予定だったが、コロナウイルスの影響で5月上旬の時点でも新年度の学生と直接会えてさえいない状況下、実施は遅れている。今後の実施に当たって、学長が最も困難を予測しているのは、目標を持っていない学生への対応だ。「税理士や公認会計士になる等の目標を持っている学生に対してのサポートは、本学の設立以来、大きな変化はないと思います。その意味で、それほど難しくはない。一方、自分の目標とか夢とか、あるいは自分が何に向いているかとか見極めることができていない学生が多く存在していて、その把握と指導にはかなり手間暇がかかります。ただ、面倒見の良さというのは、本学の長所の一つとして守りたい。このポストコロナで対面ができない状況でのフォローは、どういう仕方がいいのか、すごく考えなければいけないと思っています」。学内では、一人ひとり面倒見よく手間暇かけた教育をしていく意思統一はできているといい、それは高千穂大学の強みといえるだろう。「ただ、面倒くさいという人もいます(笑)。どんな組織でも色んな人がいるので、強制的にやりなさいではなく、その方の職務としてお願いしてやって頂く形にしています」。この「現代的高千穂教育」は、完成まで約3年を見込んでいる。3年後(2023年)の学園創立120周年を見据えているからだ。「今年度中に大きな基礎的な柱を固めて、走らせるものは走らせていく。高千穂大学の次の50年、100年に向かっての礎になるようなプロジェクトにしていけばいいと思っています」。高千穂大学自体の将来像については、建学の精神である人格教育を根本に考えるという。「人を育てるというのは、4年間で終わるものではない。卒業後も高千穂のファミリーとして育っていき、自分の世界を築いていく、その時この4年間が良い影響を及ぼすような、そういう学園であればと思っています」。ハイブリッド型で進める「現代的高千穂教育」3年後の創立120周年を見据えたプロジェクト(角方正幸 リアセックキャリア総合研究所 所長)

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