カレッジマネジメント225号
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10リクルート カレッジマネジメント225 / Nov. - Dec. 2020に相談に乗ってくれたら、生徒は「この大学に行きたい」と好感を持つと思います。あらゆるものがオンラインで行われるなか、そうしたリアルに近いコミュニケーションが際立つのではないでしょうか。山下 これだけWeb活用が進むなか、オープンキャンパスにとどまらず、日常の学びのシーンもオンラインで発信されると面白いですね。一部の大学では高校生が研究活動やゼミを先行的に体験できる、いわゆるアカデミック・インターンシップが行われてきましたが、それに近いことがオンラインで幅広い高校生に提供できたら、進路選択の重要な判断材料になりそうです。小林 近年の私大定員厳格化の流れや、大学入学者選抜改革の動きがある点も、高校の進路指導を難しくしているのではないでしょうか。山下 進路指導に携わる先生方からは、「生徒にどうアドバイスしていいのか分からない」「従来型の進路指導が通用するのか不安」といった声も聞かれます。だからこそ、これまで以上に、各大学が発信するアドミッション・ポリシーのメッセージ性が注目されると思います。和田 本来であれば高校現場は入試制度の変更に対してもっと敏感になっていたはずですが、今はとにかくコロナ対応で精一杯というのが実情です。英語民間試験の活用と記述式問題の導入が見送りとなったこともあり、令和4年に高校に入学する新課程で学んできた子ども達が入試に臨む令和6年に向け、ゆっくりと変わっていくのではないかといった見方が広がっています。山下 だからといって、高校現場に「これまで通りやっていればいい」というムードは感じられません。「入試が変わるから」よりも「生徒がこれからの社会で生きるために」という視点がうかがえます。大学入学共通テストや個別選抜試験がどうなるか分からないなかでも、目指す生徒の育成に向けてぶれずに学校改革を進めている高校も少なからずあります。和田 確かに、高校の先生達の関心は、入試制度の変化より、「これからの教育のあり方がどうなるのか」に向いています。それを考えていくことが、ひいては入試改革にも対応することになるだろうと考えています。和田 コロナ禍が高校現場に与えた最大のインパクトは、GIGAスクール構想が前倒しされることではないでしょうか。本校のある福岡市立中学校では、数年後に予定されていた1人1台タブレット配布が、今年9月に早まりました。タブレットを活用して学んできた子ども達が、もうすぐ高校に入学してくるということです。そのとき旧態依然としたチョーク&トークの授業しか提大学は、コロナ禍で奮闘する高校生の学びのプロセスを正しく評価してほしいGIGAスクール構想の前倒しで変革が加速入試の変更が小さくても、「このままでいい」ではない入試改革より、これからの「教育のあり方」への関心へ

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