12リクルート カレッジマネジメント225 / Nov. - Dec. 2020供できなかったら、生徒は笑うでしょう。いったい教室の授業風景はどう変わっていくのか、私達はどう対応していくのか…Society5.0がものすごいリアル感を伴って私達の目の前に立ち現れ、問いを投げかけているように思います。小林 多くの高校ではBYOD(Bring Your Own Device/個人デバイスの活用)で対応していくことになりますが、スマホ等のデバイスの校内持ち込みを禁止してきた学校では大きな方針転換が必要ですね。和田 スマホは遊び道具だと「悪者」にして規制をかけてきたことが、日本の子ども達の学びを大きく遅らせてしまいました。従来の生徒指導を変えていかなくては本校の生徒は、2割前後が愛媛大学へ、2割強が松山大学へ進学し、残りの6割も、ほとんどが全国の国公私立大学へ進学しています。進路指導においては、2年次までにオープンキャンパスに参加する等して志望校を見定め、3年次は勉強に専念して学力向上に努めるよう指導しています。従って、進路決定への影響で言うと、3年生以上に2年生に影響が出ています。具体的には、オープンキャンパス等の中止により、「よく知らない大学を見に行き、知る/魅力に感じてモチベーションを高める」という機会が失われています。例えば、例年であれば、2年生を対象に広島大学や岡山大学のオープンキャンパスに参加するバスツアーを本校主催で実施したり、修学旅行先の北海道または東京で大学を見学したりしていますが、今年は、両方とも中止せざるを得ませんでした。オンラインのオープンキャンパスに参加している生徒もいますが、リアルな雰囲気や学生の様子を目の当たりにすることに比べると、志望動機は高まりづらいようです。結果、既に見知っている地元の大学から選んで受験する傾向が強くなるかもしれないと見ています。このような状況から、各大学には、2年生に対する情報提供をより丁寧に行って頂きたいですね。一方で、3年生も少なからず影響を受けています。6月下旬までの休校期間中、本校から出した課題だけでなく、民間のオンライン講座等を使って自学自習した生徒と、課題をこなすばかりだった生徒で、休校明けの学力が二極化していました。志望校決定への影響は、今のところ大きなものは見られませんが、今後、経済の冷え込みを受けて家計状況が悪化し、県外の大学志望者が地元の大学に志望変更するケースが出てくる可能性は考えられます。今年度の入試に関しては、3年次の履修範囲の一部を対象外としたり、科目数を減らしたりすることを検討している大学もあると聞いていますが、それらは必要ないことだと考えます。受験生の中には浪人生もいますし、我々も生徒が大学で学ぶために必要な学力をつけられるよう3年間かけて教育を行っていますから、どの大学も、自学が必要とする学力を求める姿勢は貫いて頂きたいと思います。 (文・浅田夕香)進路指導現場におけるコロナ影響1大学をリアルに見ることができず、地元志向が強まる可能性愛媛県立松山北高等学校 地域協働推進室長 兼 進路課大谷修一 先生3年生は学力が二極化2年生の進路決定に影響愛媛県立松山北高等学校(愛媛県松山市)進学校地方
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