カレッジマネジメント225号
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13リクルート カレッジマネジメント225 / Nov. - Dec. 2020特集コロナ禍と2020年の進路選択Part 1 高校の今と進路選択いけません。これまで学校のデジタル化の一番の阻害要因は、先生達の意識だったと思います。しかし今、トップダウンでも不可能だと思われた教員の意識改革を、コロナがやすやすと実現させようとしています。小林 教育格差の広がりは、教員のデジタルスキルより、マインドセットに問題の根がありそうです。それは大学にも共通して言えることかもしれませんね。山下 文部科学省からは、GIGAスクール構想はコロナのためというよりは、これからの社会を考えたときに必要不可欠なことであり、コロナ後も後戻りはさせないという強いメッセージが発信されています。一斉休校中オンライン授業に取り組み始めた学校のなかにはコロナの落ち着きとともに揺り戻しの動きも見られますが、もはや後戻りはできない、してはいけないと思っています。和田 オンライン授業のきっかけはコロナだったけれど、もともとGIGAスクール構想でそうなる予定だったことが早まっただけ。本校も、今後のコロナの状況に拘わらずオンライン化を進める方針は変わりません。そうしないと困るのは生徒達ですから。山下 デジタルデバイスはあくまでツール。ツールが何であろうと、授業を通じて育みたい資質・能力は何か、授業デザインの本質は変わらないはずです。小林 小中学校が変わり、それを受け入れる高校も変わろうとしています。さらにその先にある大学には、どのようなことを期待しますか。和田 大学に卒業生を送り出した側として、今回のコロナ禍で一番心配しているのは、あの子達は孤立せずコミュニティーに収まれているだろうか、ということです。高校では、「見えないカリキュラム」とも言われる、授業以外の様々な活動や人間関係のなかで培われるものがとても大事だと思っています。大学でも同じではないでしょうか。キャンパスに集まって授業やサークル活動に取り組むなかで、自分が安心していられるコミュニティーができ、それを土台に成長することができる。そんなカリキュラム外の部分にも、各大学のサポートを期待します。小林 私も非常に重要だと思います。その内容について、きちんと高校にフィードバックしていく必要性も感じます。和田 また、県外大学への進学者がずっと自宅からオンライン授業を受けているという話を聞くと、大学の「場所」はあまり重要でなくなっていくかもしれないと考えてしまいます。そのなかで、大学はどう変わろうとしているのか、非常に興味があります。小林 私もこれからの大学は、立地よりも、学生をどう成長させられるかというコンテンツの部分で差がつくと思います。既に、キャンパスを持たないミネルバ大学のような教育も可能な一方で、リアルでしかできないこともある。単にオンライン化を進めればよいのではなく、オンラインとリアルの良さをどう組み合わせて学びコロナ後も後戻りはさせない危機の局面において、これまで見えなかったその大学のあり方の違いが浮き彫りになったオンライン化で問われ直す、大学という場の価値立地より、教育の中身がより重要に

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