14リクルート カレッジマネジメント225 / Nov. - Dec. 2020の価値を高めていくかがカギになりそうです。山下 単純にオンラインとオフラインに割り振ったり、組み合わせたりするというより、教育理念に基づいた学修デザインがやはり重要なのだろうと思います。小林 そう考えていくと、短期的なコロナへの対応ばかりでなく、これからの社会や教育を見据えてどうあろう本校の生徒の進路は大学、専門学校、就職と多様で、例年は3年生の4月に進路希望調査を行い、その希望に沿って4月から7月まで毎月1回、進路ガイダンスを実施して8月以降の就職試験や専門学校・大学の入試に備えています。しかし今年は、新型コロナウイルス感染症の流行拡大を受けて、東京都立高校は一律5月末まで休校となり(島嶼部を除く)、進路指導も、休校中は全くできませんでした。6月から1カ月間の分散登校中に少しずつ進路希望の把握を始め、7月に一斉授業を再開してから進路ガイダンスをバタバタと実施している状況です。生徒達の動きへの影響としては、6月頃から人数を絞って学校見学会を開いていた専門学校の志望者や、8月にオンライン見学会を実施したごく一部の企業への就職希望者を除いては、就職希望者、専門学校志望者、大学志望者とも、総じてリアルの場で情報収集することが難しくなっています。また、大学の指定校推薦希望者が例年の約1.5倍に増えているのが特徴的です。2018年からの私立大学の定員厳格化によって指定校推薦希望者は増加傾向にありましたが、今年はさらに多く、年明けの一般入試が予定通りに実施されるかどうか見通しを立てづらいことが一因と見ています。指定校推薦だけでなく、総合型選抜等、年内に実施される入試の受験希望者は、今世間で予想されている以上に増えるのではないでしょうか。大学に対して望むのは、情報を早めに、分かりやすい内容で出してほしいということです。今年は例年になく入試要項の発表が遅く、準備に遅れが出ています。また、選抜をオンラインで実施する大学が出てきていますが、生徒の環境によって有利・不利が生じないよう配慮をお願いしたい。実際に、ある大学のオンライン入試の条件に「人の出入りのないインターネット環境を自分で準備すること。できない場合は高校に頼んで用意してもらうこと」「試験中に通信エラーが生じた場合、試験を中止する」という、生徒への配慮に欠けるものがありました。都立高校のICT環境は非常に貧弱で、回線は途切れがちです。にも拘わらず、自力で環境を用意しろ、回線が途切れれば試験は中止というのではひどすぎます。文部科学省からも通知が出たので、大学の誠意ある対応を期待しています。(文・浅田夕香)年内実施予定の入試の受験希望者が増える見込み多摩地区高等学校進路指導協議会 事務局長東京都立青梅総合高等学校(全日制)本間恒男 先生進路指導を3カ月遅れで開始変化対応力が大学の未来を分ける指定校推薦希望者が約1.5倍に進路指導現場におけるコロナ影響2東京都立青梅総合高等学校(東京都青梅市)進路多様校首都圏
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