カレッジマネジメント225号
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29特集コロナ禍と2020年の進路選択リクルート カレッジマネジメント225 / Nov. - Dec. 2020カ月で4万人ほどが視聴しているそうだ。OCであればせいぜい1万人という数字を大きく超えている。この『Web体験授業』はTOYO Web Styleという入試情報サイトの一部を構成しており、それを通じて、出願から入学の手続き等の全てが可能だが、入試そのものも一部Webで実施していることは画期的である。それが『Web体験授業型入試』だ。2017年度入試において、新設の情報連携学部・国際学部の公募制推薦で導入されたのを皮切りに、2020年度入試では7学部11学科にまで拡大した。この『Web体験授業型入試』とは、指定された『Web体験授業』を視聴、提起された課題についての解決方法を考察してレポート提出、試験当日はWeb会議システムを通じてプレゼンや質疑応答というステップを踏んで合否が決定される。ここまでしてWebを活用するのはなぜか。それは情報格差の是正による入学機会の公平化という理念に基づくものである。「いつでも、どこでも、だれでも」というWebの特性を利用すれば、大学情報、入試情報、受験機会等の情報に接する機会の公平化は図られる。そのことは、志願者や入学者の大学選びの選択肢の幅の広がりへと連なる。考えてみれば、対面での高校説明会、進学相談会、OC、地方入試等を拡大したとしても、全国全てには及ばない。ましてや、海外からの留学生を求めることは不可能に近い。しかし、TOYO Web Styleはそれらを可能にする。学びそのものの情報集約と機会の公平化は、東洋大学で学びたいという高校生の拡大につながるのである。この一環で2017年からは『TOYO Webサポート』という、Web会議システムを通じて個別相談ができるシステムをTOYO Web Styleに搭載し、オンライン相談を行っている。コロナ禍以前からこうした施策を行っていることは驚嘆に値する。『Web体験授業』が増えることで、入学者のモチベーションや学力レベルが向上したことを、多くの教職員が実感しているそうだ。「この先生のゼミに入りたい」といった強い意志を持つ新入生も増えたという。その意味では、募集広報のWeb化は成功であろう。ところで、この『Web体験授業』はFDの機能を持つことを、教職員はどれほど意識しているだろうか。Webの視聴回数のログは、単にその学部・学科の人気度を表す以上に示唆に富んだ情報を孕む。それは自ずと教員の授業改革を促す。授業を見せるということは、視聴者からのフィードバックを得て、大学の改善・改良の機会が進むという副次的効果を持つのである。そして、それは、いずれの大学も目指す入学者の質の確保とwin-winの関係にある。コロナ禍で一層脚光を浴びたTOYO Web StyleやOpen Campus Web Styleであるが、それが収束したとしても、この方向性は元には戻らないであろう。しかしながら、PCやスマホの画面からでは伝えきれないこともある。対面とWebの良いとこ取りをしながらリアルとバーチャルを組み合わせて大学を見せて伝えるか、それが課題である。今こそ実験の時ではないだろうか。情報格差の是正:「いつでも、どこでも、だれでも」の実現学生募集の可能性:選ばれる大学を目指して(文・吉田 文 /早稲田大学教授)表 東洋大学の主なオンライン対応変遷2013年紙の大学案内を廃止、TOYO Web Style(入試情報サイト)立ち上げ2015年TOYO Web Styleで『Web体験授業』公開開始授業体験イベント『学びLIVE』のWeb版として拡充を目指す2016年2017年4月新設の情報連携学部・国際学部の公募制推薦で『Web体験授業型入試』開始2017年オンライン個別相談『TOYO Webサポート』開始2019年『Web体験授業型入試』を7学部11学科に拡大2020年TOYO Web Style掲載の『Web体験授業』掲載数が640本突破Open Campus Web Style公開

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