カレッジマネジメント225号
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30リクルート カレッジマネジメント225 / Nov. - Dec. 2020コロナ禍によって通常の学生募集ができなくなる。この危機を「チャンス」と捉えた大学は、果たしてどれだけあっただろうか。「今年は新型コロナウイルスの影響のみならず、入試が変わる節目の年でもある。課題山積みですが、この混沌とした状況を逆にチャンスに転換させたい。どうすればそれが実現できるかということをとにかく考えました」。入試部次長の岡田雄介氏は力強く言う。どの大学にとっても、学生募集の肝となるのは、何といってもオープンキャンパス(OC)である。龍谷大学も、他大学と違わず、今年度はオンライン形式で開催することを余儀なくされた。オンライン形式の難しさは、特色が出しにくく、いとも簡単に「その他大勢」に埋没してしまう点にある。オンラインOCの大衆消費財化(コモディティ化)に飲み込まれないためには、他大学が工夫を凝らすその先、すなわち3歩先を行くぐらいのことをしなければならない。どうすればインパクトを残せるか。たどり着いた答えが「Ryukoku 27 hours Live」(8/1~8/2開催)だった。「Ryukoku 27 hours Live」は丸一日プラス3時間、各キャンパス・施設から多重化したライブ配信を行ったイベントである。当日のプログラム概要を原稿に示した。通常のOCとは異なり、タレント・著名人の活用も試みたが、これは単なる賑やかしではなく、著名人に龍谷の魅力をPRしてもらうコンテンツとして起用したものだ。「龍谷大学での学び」、「学生生活」、「課外活動」、「施設設備」、「教員・学生の顔や声」を効果的に伝えるために必要だと判断したのである。知的好奇心をくすぐるような番組を、時に面白おかしく、けれども真面目に発信し続けた。また、長時間配信し続けることで普段見られない大学の姿を見せることができた側面もある。明治初期に建築された重要文化財群を有する大宮キャンパス(京都市下京区が指定する景観「下京八景」にも指定)の美しいライトアップを紹介することができたのも、夜間にも配信した27hLiveならではのことであった。27hLiveのアクセス数は、約6万にものぼった(27hLive視聴者数:5万2900、相談会等の従来イベント:7734)。驚きの数値であり、いかに注目されたかをうかがい知ることができよう。昨年度の同期間(8/3~8/4)に開催したOCの来場者は1万4682人だったことから、4倍以上の参加者であったと岡田氏は振り返る。「アクセスしてくれた視聴者全てが受験生であるとは、我々も考えていません。TwitterやYouTubeのコメント欄を見ると、起用したタレントや著名人のファンだから視聴したという方もそれなりにいたようです」と岡田氏は説明する。ただ同時に、それで構わないとも考えている。多くの人に龍谷大学の魅力を届けることができたからだ。まずは知ってもらうこと。大学への接触者数の最大化を図り、志願に向けたコミュニケーション接点を確保する。学生募集にとって、これ以上重要なことはない。そして何より27hLiveの成功は、計2日で『ru navi』のダウンロード総数が、前年同期比の2.5倍、約5000件にのぼった点に現れている。『ru navi』とは、龍谷大学の最新情報を届けるための受験生向け情報配信アプリのことだ。イベントカレンダーや大学の魅力をPRする内容に加え、受験勉強に役立龍谷大学2CASE岡田雄介氏昨年度をはるかに超える手応え3歩先を行くつもりで編み出した戦略オンリー・ワンのイベントで接点を最大化しアプリでコミュニケーションを継続する接点拡大  アプリ

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