32リクルート カレッジマネジメント225 / Nov. - Dec. 2020実践女子大学(以下、実践)は総合型選抜Ⅰ期のオンライン化や早期のWeb OCサイト運用等、コロナ禍における積極的な施策が注目を集める大学の1つだ。こうした取り組みの背景にある課題意識、募集広報におけるコミュニケーションの工夫等について、経営企画部長兼学生総合支援センター広報・渉外担当部長の周東正紀氏と、同入学支援担当次長の浜中邦興氏にお話を伺った。実践は春の時点でオンライン募集のプラットフォームとなるWeb Open Campus “Connection”を立ち上げた。コンセプトは「学生が作るウェブサイト」。実践には広報で活躍する数百名規模の学生集団「J-STAFF」がおり、OCの企画運営や受験生の相談対応、ウェブコンテンツ作り等に関与する。広報の軸となるのは、このJ-STAFFによる「Z世代向けのコンテンツ工夫」だ。学生は「高校生目線で等身大の情報を伝える」スタンスが徹底しており、ウェブでもOCでも、学生が日常生活や自分が受験生の時の話等をバラエティ豊かに伝えるコンテンツが用意されている。こうした「身近で親しみやすい先輩」との接点を増やすことで募集母集団となるファン層を着実に創るのが募集戦略の基盤だ。「遠い立派な先輩よりも親しみを持って憧れる先輩と多く接することによる共感が志願度に大きく影響する。リアルであれオンラインであれ、共感を最大化することを重視しています」と浜中氏は言う。 J-STAFFに憧れた生徒が入学後J-STAFFになるという好循環が機能し、偏差値序列等によらずこの先輩がいるから実践にというコアファンの獲得につながるのだ。Web OCを構築する一方で、夏季には感染防止ルールを徹底したうえで100名定員のリアルミニOCを4回実施した。浜中氏は2つ理由があると言う。「まず、キャンパスに来たいという受験生の声が大きかった。感染リスクを考えればオンラインだけにするほうがよいのですが、大事な進路選択をオンラインだけではできない高校生の気持ちも分かる。リスクを極小化したうえでそうした声に応えたかった」。2つ目は募集への不安感だった。「オンライン施策自体に手応えはあったものの、募集全体がうまくいっているのか確信を得られない状態が続いた。受験生の様子を知るためにもある程度は対面でやりたかった」(浜中氏)。実践は日野と渋谷の2キャンパスをライブでつないだり、学生は自宅から中継に参加する等、多様なバリエーションでハイブリッドにチャレンジしている。こうした使い分けについて、周東氏は「ターゲットと訴求ポイントと時期によって使い分けている」と言う。リアルで実施していたことをただオンラインに載せかえるのではなく、時期によって大学が言いたいことと参加者が参加したい躯体を見極めたうえで、ニーズを踏まえた設計を行う。「例えば授業参加はオンラインとリアルでそこまで差が出ませんが、立地や施設、学生の雰囲気は来校しないとつかみづらい。でも来たい人もいれば来たくない人もいる。ならば、リアルで接点を持つ機会を創出すると同時に、オンラインでは録画したものをただ流すのではなく、学生同士がライブで実践女子大学3CASE浜中邦興氏周東正紀氏リアルとオンラインの役割の違い学生スタッフによる等身大のコミュニケーションでファンを獲得するユーザー目線に立った共感の最大化をリアルとオンラインのハイブリッドで実現共感の最大化 ハイブリッド
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