35特集コロナ禍と2020年の進路選択Part 2 大学の募集コミュニケーションリクルート カレッジマネジメント225 / Nov. - Dec. 2020全てのコンテンツを手掛け、学内のリソースで作り上げているため、ちょっとした改変にもすぐ対応できた。コンセプトの共有も容易で、皆が一丸となって当事者意識を持って取り組むことができた。こうした動きは今後オンライン併用型広報活動において広報戦略を担う人材の育成にもなりました」と塚田氏は言う。職員同士だけではなく、学生スタッフには1対1で面談を実施して認識を合わせ、各担当パートでどのようなパフォーマンスをするか相談した。学生スタッフは、自らプレゼンを手掛け、視聴者にとって魅力的にするために方策を練ったそうだ。目指す方向性を揃え、一人ひとりが目的達成のために主体的にパフォーマンスを発揮し、その進捗を日々共有することでチームとしてプロジェクトに取り組むことができたという。また、ライブ配信のイベント設計のみならず、「動画deオーキャン!」アーカイブの整備、入試相談LINE開設、参加者から寄せられた「視聴者VOICE」ページ、入試担当者とのオンライン相談会等、情報の濃淡も異なる多様な情報提供機会が整備されている。これについては、「受験生の気持ちの揺らぎのステージに細かく対応できるようなオンラインツールを整備しています」という。突っ込んだ話を聞きたい人もいれば一旦概観を掴みたい人もいる。周りの反応を見ながら空気を楽しみたい人もいれば、1対1で深めたい人もいる。コンテンツの差異だけではなく、そうしたインサイトに注目した全体設計で、最終的に志願につながるように導いていく。「オンライン化でも募集エリア自体はコロナ前と変わりませんが、一部遠方からのアクセスも増えている。とはいえ、参加状況は例年の3割に留まりコロナ前の水準まで接点が確保できているわけではない。オンラインはもともと本学の志願度が高い受験生にスピーディーに様々なコンテンツを提供できる良さがある一方で、受験生側が能動的なアクションを起こしてくれないとこちらの情報が行き届かないというデメリットもある。対面だと本学が第一志望ではない受験生にも細かく声かけすることで志願度を高めることが可能でしたが、オンラインだとそれができない。そのあたりを多様なツールで対応していますが、それぞれがどの程度アクションにつながっていくかは今後もよく見ていく必要があります」(塚田氏)。ナカムラ第一志望の受験生がオンラインに多く集うことは喜ばしいが、「コンテンツをしっかり作ることで達成感はありますが、そこで終わってはいけない、フォローが重要」との見解を示す。また、ナカムラは国公立大学を第一志望とする受験生が併願するケースも多いが、新規開拓よりも継続コミュニケーションに向くオンラインが主軸となった前半戦の当然の帰結として、そうした層に確実にアプローチできているわけではないことも今後の不安材料であるという。秋以降もオンラインを主軸とするが、高校訪問も再開する。「九州はまだまだ紙文化が根強く、国公立志向も強いエリアです。保護者や高校教員に確実に訴求しつつ、どういうバランスでやっていくかを模索していく必要がある」と塚田氏は言う。最終的な実志願者数を増やすために、小規模大学としてのメリットを活かした募集をハイブリッドでどう組み立てていくのか。自粛期間はオンラインに注力できたが、対面も再開するなかで、どの程度マンパワーのバランスをとることができるか等、募集広報活動の全体最適化の検討も必要だ。ナカムラの挑戦は続く。(文・鹿島 梓)受験生インサイトに寄り添う募集全体設計エリア特性を鑑み併願層の確保と実志願の増加に挑む8/98/87/127/56/286/216/146/7事前予約無し事前予約有り※LIVE配信コンテンツの増加に伴い、視聴者も増加30%30%40%50%50%65%75%75%視聴者推移LIVE配信コンテンツ占有率事前予約無しにしたことで、視聴者数が、約80%増加した。図 OC参加状況
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