44リクルート カレッジマネジメント225 / Nov. - Dec. 2020新型コロナウイルス感染症の流行は、新卒就職・採用における学生と企業のコミュニケーションにも変化をもたらしている。その概要と今後の見通し、大学のキャリア支援のあり方等について、就職・採用動向の調査・分析に取り組むリクルートキャリア就職みらい研究所所長・増本 全氏に聞いた。インタビュー/学生・大学・企業の採用コミュニケーションはどう変化したか新型コロナウイルス感染症の流行が2021年卒業予定の学生の採用選考に与えた影響として、特に特徴的なものは、選考のオンライン化の急速な進行です。例えば、企業の採用活動における「動画配信・Webを通じた企業説明会・イベント」の実施率は前年比31.9ポイント増の43.1%、「面接(Web上)」は前年比39.6ポイント増の45.9%という結果が出ています(※1)。また、学生に対して内定取得先企業の最終面接の形式を調査したところ、対面面接が57.9%、Web面接が41.5%と、約4割の企業がオンラインで最終面接を実施していました(図1)。企業としては、Web面接でも問題なく人物評価ができるという感触を得ている一方、動機づけや本人の志望度の見極めは、オンラインだと難しいという声も挙がっています。その気づき・課題感を反映してか、2022年卒採用においては、新型コロナウイルスによる影響が収束した場合「Web説明会・面接の割合を増やす」と回答した企業が27.4%、「対面の割合を増やす」と回答した企業が13.2%という結果となりました(図2)。必要な場面では直接会いつつ、可能なところはオンライン化するという、オンラインとオフラインのハイブリッドが志向されていることが窺えます。 こうした変化によって、学生と企業とのコミュニケーションの課題として一つ顕在化しているのが、仕事の詳細や入社後のキャリアパス等、企業や仕事の実態を知って入社企業を決めることが難しくなっていることです。リクルートキャリア就職みらい研究所 所長 増本 全氏オンラインとオフラインのハイブリッド化を志向課題は「企業・仕事を知る」こと図1従業員規模別に見る内定取得先企業の最終面接の形式大学生_全体(就職志望者・内定取得者/複数回答・内定取得先企業最大5社分についてそれぞれ聴取し合計)※大学院生除く 5000人以上1000人~4999人 300人~999人 100人~299人 100人未満全体その他 Web面接対面面接57.979.563.962.955.843.456.60.043.30.936.40.735.11.020.50.041.50.6リクルートキャリア「就職プロセス調査(2021年卒)」─2020年6月12日時点 内定状況(%)加速して進んだ採用・選考のオンライン化変化に応じた学生支援で仕事理解の促進を
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