カレッジマネジメント225号
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51リクルート カレッジマネジメント225 / Nov. - Dec. 2020まず改革の必要性を感じたのは「昔の一般教養教育」だったという。1990年代に教養部が解体され、そこにいた教員の半数ほどは加計学園の他大学に移籍、残った教員は各学部学科に分属となった。教養教育を担う組織がなくなったことで、その後の教養教育は、やや軽視されてきた現実がある。専門教育重視の傾向が強かったことや、学科縦割りの運営も、教養教育にはマイナスに働いた。着任以来の改革に、柳澤学長は3つの項目を示している。1番目は「学科縦割り運営、専門教育偏重からの脱却」。2番目は、「『教職員みんなで学生を育てる』という意識改革」。3番目として、「『基盤教育』に関する強固な企画実施体制の構築」。基盤教育とは、岡山理科大での教養教育の名称だ。その改革は、柳澤学長になった2016年ころから少しずつ始まり、2018年度に秦副学長が教育担当として着任すると、学内の合意形成あったが、実施してみて、学生のニーズが想像以上に大きかったと感じており、次年度以降はより充実させる方針という。学ぶと働くをつなぐ観点では、「従来のキャリア教育を質的に超えなければいけない」と柳澤学長は言う。そのカギとなるのが、3年ほど前から導入に向けて進め、今年度入学生から導入したトータルキャリアポートフォリオ=TCPだ。その大きな特徴は、「未来」に自分が将来実現したいこと・目標を掲げ、「現在」において自己管理(マネジメント)していく、すなわち目標管理型のポートフォリオということだと柳澤学長は説明する。「TCPを取り込みながら、基盤教育の正課教育だけではなく、準正課教育、あるいは課外活動、キャリア支援も含めて、入学から卒業まで、学生にが加速したという。まず組織改革として、これまで教養教育に関わってきた専任教員40数名の分属を廃し、全学組織「教育推進機構」の所属とした。基盤教育改革の中核はこの機構とし、学部学科の教員も機構の管理運営や授業の企画実施に関わる体制をとった。基盤教育のカリキュラムへの全面的な反映は2021年度となるが、2020年度新入生に対して「セルフ・アウェアネス」「ライフ・ビルディング」「アサーティブ・コミュニケーション」それぞれの入門編と実践編、計6科目を試行的に導入している。柳澤学長は、基盤教育の3つの観点として、「こころ豊かに生きる」「知性を磨く」「技能を生かす」を掲げ、「大学の教養教育として特徴があると思うのは、1番目の『こころ豊かに生きる』で、試行的に導入した6科目もその関連です」と話す。大学生に「こころの科目」は不要なのではという学内的な議論も目標管理型ポートフォリオを活用自分の目標に向けた継続した学び・活動一貫したアカデミック・アドバイジング学生情報全ての見える化正課教育基盤教育ライフ・キャリアデザイン系科目インターンシップ準正課教育1年次2年次3年次4年次キャリア支援キャンパスライフ支援(課外活動・経済的・心身等)・キャリア支援(目標設定・就職・進学等)DPの修得・基盤教育の12の教育目標の達成に向けた基盤教育・専門教育科目の配置インターンシップA(30時間以上)、B(60時間以上)、C(90時間以上)キャリアデザイン 1~ 4(1~4年次まで全員が履修)インターンシップ入門企業情報特論フレッシュマンセミナーこころ豊かに生きる科目セルフ・アウェアネスライフ・ビルディングアサーティブ・コミュニケーション社会・産業実習産業課題研究演習社会人基礎力等を養成するプログラム(リーダー養成・科学ボランティアリーダー養成・マナーマイスター)マンダラチャートで目標設定・管理自分の強みを把握する客観テストレーダーチャートで教育目標の到達度把握就職に役立つポートフォリオ機能トータル・キャリア・ポートフォリオ(TCP)を活用した自立型教育プログラム

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