カレッジマネジメント225号
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6リクルート カレッジマネジメント225 / Nov. - Dec. 2020小林 和田先生は今年3月まで福岡県立城南高校、4月から福岡市立福岡西陵高校に移って校長を務めていらっしゃいます。コロナ禍によって一斉に休業要請が出されるというかつてない事態となるなか、高校現場はどのような状況だったのでしょうか。和田 一言で言えば「大混乱」です。2月28日付けで文部科学省から休業要請されるという知らせを学校外で受け、慌てて学校に戻って対策を話し合ったのを覚えています。まずは数日後に迫った卒業式をどう無事に開催するか、からでしたね。山下 生徒達ときちんと挨拶できないまま会えなくなった寂しさに加え、卒業式や入学式の対応、新学期からの授業をどうするか等、全国の先生方のお話からは切迫した状況が伝わってきました。これは大変だと。和田 その一方で、私はチャンスだとも思いました。休業要請の報に騒然となる職員室で、私は一人「オンライン授業に挑戦するチャンスが来た!」と興奮して喜び、周囲の先生達に不思議がられました(笑)。小林 当初からオンライン授業に前向きだったのですね。実施まではどのように進めたのですか。和田 実際の取り組みは、新年度、福岡西陵高校に移ってからになります。全国の高校では普通教室への無線LAN整備率が4割にも満たないのですが(※)、本校では既に全教室に整備されていました。また、在校生に調査したところ全家庭にインターネット環境があったので、休業延長が決定した4月2日の日の夕方、職員会議で「オンラインで授業をやりましょう」と呼びかけました。翌日からオンライン授業実施に当たっての課題を洗い出して一つひとつ潰していき、現場の要望も吸い上げ、6日にはオンライン授業の時間割を作り上げました。先生達の頑張りにより、土日を除けば3日間でオンライン授業の仕組みができたことになります。そうして4月13日にオンライン始業式を行い、5月下旬の学校再開まで、生徒は自宅から授業を受けていました。山下 全国的に見ても、和田先生の学校は非常に素早い対応でしたね。多くの学校では、オンラインツールはどれを使えばいいのか、授業時間は、ネット環境がない生徒は、等、議論に大変な時間がかかったと聞いています。小林 なぜそこまで早々に取り組んだのでしょうか。和田 生徒の進路保障とメンタルヘルスを第一に考えた結果です。福岡県に対して「緊急事態宣言」が出された4月7日、オンライン授業を始めるチャンスが来た!進路保障と心のケアのために、できることはやろうPart1高校の今と進路選択コロナ禍は高校現場にどのような変化をもたらしたか高校校長×キャリアガイダンス編集長×本誌編集長 座談会※文部科学省「令和元年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果(令和2年3月現在)」より「変化に、早く前向きに対応する力」が高校にも大学にも問われている

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