カレッジマネジメント225号
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7特集コロナ禍と2020年の進路選択リクルート カレッジマネジメント225 / Nov. - Dec. 2020本校の先生方に「本校では約9割の生徒が大学進学を目指しています。生徒達が、緊急事態宣言が出された福岡県に住んでいるからといって進路実現において不利になるようなことはあってはなりません。何とか他府県の生徒達のように学び続けられるよう、全力でサポートしたい。そのためのオンライン学習なのです」と語りかけました。その思いは先生方も同じで、校内には「オンライン学習は絶対やるべきだ」という機運がもりあがりました。また、オンラインでつながることができれば、画面越しでも毎日生徒達に会うことができます。毎日決まった時間に朝礼と終礼を行うことで、生活のリズムとメンタルの安定に努める狙いもありました。小林 御校では、社会の課題を見つけて解決策を考え実行する「総合的な探究の時間」にも力を入れていますが、それはどう対応されたのでしょうか。和田 やはりオンラインを活用し、従来と同じプログラムで実施しました。例えば、2年生がSDGsを学ぶ授業では、まず広告代理店の方が東京の自宅からZoomで講義を行い、その内容について生徒はブレイクアウトルーム機能を使ってグループで話し合いました。最後、講師に謝辞を述べたのは、オーストラリアに留学中の生徒です。距離の壁を取り払うオンラインの特長を活かせば、リアル以上のこともできるのだと実感しました。1983年福岡県立高校教諭に。1986年に城南高校に赴任。同校にて立ち上げた生徒主体の進路学習「ドリカムプラン」は全国から注目される。筑紫丘高校勤務を経て、2008年に城南高校に教頭として再赴任。修猷館高校、早良高校で管理職を務めたのち、2015年より福岡県教育センター教育指導部長として県全体の授業改善を牽引。福岡県教育委員会高校教育課主幹を経て、2018年に3度目の城南高校に校長として着任。2020年に福岡県教職員を定年退職後、現職。文部科学省の各種委員や調査研究者として全国的なキャリア教育の推進に尽力。福岡市立福岡西陵高等学校学科:普通科生徒数:942人(男子405人・女子537人)進路状況:大学216人・短大11人・専門学校53人・就職2人・その他17人(2020年3月卒業生)所在地:福岡県福岡市西区大字拾六町字広石1975年福岡市立の普通科進学校として創設。教育理念「自ら学ぶ意欲をもち、心豊かにたくましく生きる人間を育成する」のもと、きめ細やかな学習指導を実施するほか、総合的な探究の時間では企業や社会の課題解決に取り組む独自プログラム「アイデア屋」「チャレンジ屋」を展開し、国際教育にも力を入れている。1990年(株)リクルート入社。『就職ジャーナル』編集企画、「リクルートナビ」編集長、「リクルート進学ネット」ならび「リクルート進学ブック」編集長、メディアプロデュース部部長、事業企画室長、進路サポート部部長等を経て、2013年10月より現職。高等学校学習指導要領(平成30年告示)総合的な探究の時間【解説】検討メンバー、沖縄県教育委員会 「キャリア教育支援事業」評価検証委員(平成28年度/29年度)、和歌山県教育委員会 「きのくに教育審議会(第6期)」委員(令和元年)など。福岡市立福岡西陵高等学校 校長和田 美千代氏キャリアガイダンス編集長山下 真司氏リクルート進学総研所長カレッジマネジメント編集長小林 浩 1988年株式会社リクルート入社。グループ統括業務を担当、「ケイコとマナブ」企画業務を経て、大学・専門学校の学生募集広報などを担当。経済同友会に出向し、教育政策提言の策定にかかわる。経営企画室、コーポレートコミュニケーション室、会長秘書、特別顧問政策秘書、進学カンパニー・ソリューション推進室長などを経て2007年より現職。文部科学省高大接続システム改革会議委員(2015-16)、文部科学省中央教育審議会大学分科会質保証システム部会委員(2020〜)。

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