17リクルート カレッジマネジメント226 / Jan. - Feb. 2021問に対する肯定的な回答の割合が、大規模校ほど高い傾向にあるのも、このような人材育成環境の差が起因している可能性もある。一方で、規模が小さいことが人材育成面でプラスに作用することもある。理事長・学長というトップとの距離が近く、一人当たりの担当業務範囲が広いことで、運営への参画意識も高まり、全学的視野を養うこともできる。中堅・中小規模校がその利点を活かせば、大規模校にはない育成上のアドバンテージを得ることもできる。なお、1校あたりの平均専任職員数がさらに小さい公立大学が、OJT、ジョブ・ローテーション、評価システムの3施策に対する肯定的な認識の割合で私立大学を上回るのは、自治体からの派遣職員が多く、大学独自の人材育成施策より派遣元の人材育成施策の影響を強く受けていることが背景にあると考えられる。公立大学における人材育成については、自治体との関係を踏まえながら、そのあり方を考えて行く必要がある。理事・事務局長、部課長、中堅・若手職員の3階層に分けた場合、「将来の理事・事務局長人材の計画的育成」、「将来の部課長人材の計画的育成」、「中堅・若手職員の育成」の3項目ともに、「とても必要」の回答割合が半数を超え、「ある程度必要」を合わせると9割以上にのぼる。また、「とても必要」の回答割合は、中堅・若手職員も踏まえておく必要がある。そのうえで、最後の質問として「部課長層の職務遂行能力を高めるための人材育成施策」として6項目をあげて、それぞれについてどの程度必要と考えているかを尋ねた。「とても必要」、「ある程度必要」を合わせた回答割合はいずれも8割から9割台と高いが、前者に限ると、「目標を明確にした業務運営」48.2%、「学外研修の活用」45.5%、「評価システムの整の育成では75.1%に達し、以下、部課長人材の計画的育成62.7%、将来の理事・事務局長人材の計画的育成52.0%となっている(図17)。学長との接触頻度は上位階層ほど高く、下位階層ほど低くなるのは当然であり、この結果を評価するにあたり、直に接する機会の少ない階層の能力の把握はより難しく、将来を担う人材としての期待も大きくなりがちであるといった状況があること図16 職員の人材育成に関する施策に対する現状「職員の人材育成に関する施策はどのような現状か」図17 3つの階層に分けた場合の人材育成上の課題「3つの階層に分けた場合の人材育成上の課題は何か」特集 大学経営を支えるミドルマネジメントResearch result調査データある程度整っている整っているやや不十分である全く不十分である評価システム自己啓発支援研修(学内研修、学外研修)ジョブ・ローテーションOJT(実務を通じた教育)(%)12.08.010.78.017.839.632.010.736.247.88.052.031.16.238.445.58.052.433.81.8ある程度必要とても必要現状で十分あまり必要と思わない中堅・若手職員の育成既に部課長の職にある人材の育成将来の部課長人材の計画的育成既に理事・事務局長の職にある人材の育成将来の理事・事務局長人材の計画的育成(%)52.019.662.730.775.122.72.260.48.40.433.83.650.228.02.237.89.30.9目標や課題を明確にする等業務運営や人事管理の面での環境整備が重要
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