カレッジマネジメント226号
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18リクルート カレッジマネジメント226 / Jan. - Feb. 2021備」38.4%、「挑戦的な課題の賦与」37.7%となっている(図18)。学内研修や自己啓発よりも、目標や課題を明確にしたうえで、評価を適切に行う等、業務運営や人事管理の面で能力を引き出し、高めていくことが重要と考えていることが分かる。また、学外研修の活用が2番目に高いのは、部課長層を育成する研修を学内で実施することが難しいという消極的な理由だけでなく、学外研修を通した視野の拡大やネットワークの形成等積極的な理由も含まれていることが推測される。本調査では、既に結果の一部を紹介したが、改革の進捗度に対する認識を問うた質問の回答とそれ以降の質問に対する回答をクロス集計し、改革の進捗度に対する認識と職員の役割・能力、職員組織の現状、部課長の役割・能力等に対する認識にどのような関係があるかの分析を行った。例えば、「以前(過去10〜15年)と比べて職員の役割が高まっていると思うか」の質問に対して、改革が「進んでいる」とした大学の91.7%が「とてもそう思う」と回答し、「ある程度」とした大学は62.9%、「あまり進んでいない」とした大学は46.8%となっている。また、「職員は期待した役割を果たしていると思いますか」の質問では、改革が「進んでいる」とした大学の41.7%が「とてもそう思う」と回答し、「ある程度」とした大学は11.3%、「あまり進んでいない」とした大学は2.1%にとどまる。さらに、「部課長層は部や課が機能を発揮できるよう期待した役割を果たしている」の質問に対しては、改革が「進んでいる」とした大学の39.1%が「とてもそう思う」と回答し、「ある程度」とした大学は18.3%、「あまり進んでいない」とした大学は2.1%にとどまっている。このクロス集計は因果関係を明らかにするものではない。改革の進捗を判断する際に、職員の役割の高まり、職員組織の活性化、職員の能力伸長等が評価要素になっていることも十分に考えられる。また、改革の進展が職員組織を活性化し、職員の能力伸長を促すとみることもできるし、その逆に、職員組織が活性化し、職員の能力が引き出されることで改革が進むと考えることもできる。因果関係の分析は今後の検証に委ねるとして、改革の進展と職員組織の活性化の間には強い相互作用があると考えている。大学の進むべき方向や目標が明確になり、組織、制度、システムに関する実効性を伴う改革が進むことで、共通目的の実現に向けて構成員の能力が引き出され、協働が促進され、成果が生み出される。構成員がより良い変化を実感できれば、意欲も高まり、協働が一層促進されることで、さらなる成果につながる。この好循環をつくりあげることこそ改革の究極の目的である。図18 部課長層の職務遂行能力を高めるための人材育成施策「部課長層の職務遂行能力を高めるための人材育成施策に必要なものは何か」ある程度必要とても必要現状で十分あまり必要と思わない挑戦的な課題の賦与評価システムの整備目標を明確にした業務運営自己啓発支援学外研修の活用学内研修の充実(%)27.245.529.548.238.437.754.36.71.345.116.10.444.27.654.513.42.746.97.10.460.710.31.8改革の進展と職員組織の活性化の好循環をつくる本調査結果のまとめ

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