カレッジマネジメント226号
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20リクルート カレッジマネジメント226 / Jan. - Feb. 2021司会 金田さんと佐々木さんは、大学職員として入職されてから現在まで、18歳人口減や大学改革といった大学を取り巻く環境が大きく変化するなかで、職員の役割が変化したという実感はありますか。 金田 私が入職したのは1980年代で、大学職員という仕事があまり認知されていない時でした。今は大学職員を新卒から目指してくる時代になり、個々人の能力も非常に高くなっています。90年代ぐらいまでは、大手大学を中心として、学生定員の拡大による収入増等を背景に、新たな学部を設置し、志願者を集めるという認識のもとに仕事をしてきたように思います。ここ10~15年は、教育をはじめとする様々な面において、量よりも質が重要視され、そのための教学マネジメントが必要となったことが大きな差です。そこに職員がどう関わるかを明確に示せないまま、複雑化・高度化する業務も多いなかで、全体として何となくもやもやした雰囲気を感じています。佐々木 社会貢献や地域連携、大学ガバナンスの推進等、大学の役割が変わったことで、就職支援や国際化への対応をはじめ、職員が担うべき仕事の質も変わりました。しかし、職員の役割や意識はあまり大きく変わっていない、そのこと自体が課題なのだと思います。昔より教職協働の実態は進んできたものの、権限が職員に明確に移譲されたかと言われると、そうではありません。吉武 私は企業から大学に移った18年前から、大学改革は職員の変革からだと申し上げてきました。大学に課される課題が拡大し、組織的な取り組みが今まで以上に求められるようになってくると、これまでの教員と学生が中心のコミュニティーの要素と同時に、経営体としての要素がないと社会的な役割を果たせなくなってきています。しかし経営というものに対して抵抗感を持つ教員は今でも多く、その意識を変えることは容易ではありません。 そこで、職員が大きな役割を担わざるを得ないのです。大きな流れはその方向に進みつつあると考えていますが、旧来の体質が根強く残っているのも事実です。司会 大学行政管理学会(以下、学会)は大学職員による唯一の学会ですが、どのような課題意識で設立されたのですか。金田 設立は1997年1月で、今年で24年目を迎えました。孫福弘(慶應義塾大学)、村上義紀(早稲田大学)、山本忠士(亜細亜大学)の各氏により、職員はもっと専門的な能力を大学職員を取り巻く現状と課題職員の役割は変化したか今、ミドルマネジメント層が果たすべき役割とはRoundtable大学を取り巻く環境が変化する今、ミドルマネジメント層の役割はどのように変わり、求められる能力やスキルはどう変わっているのか。そしてミドル層の育成やキャリアについてはどうあるべきなのか。大学経営を支え推進する職員の今とこれからについて、幅広い視点からの意見をリモートでの座談会でお伺いした。座談会

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