カレッジマネジメント226号
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23リクルート カレッジマネジメント226 / Jan. - Feb. 2021改善していくか、今後の課題であると思います。佐々木 今回のテーマであるミドル層について言うと、ここ15年は大学にとってガバナンス強化の時代だったので、がっちりした組織力とミスのない運営を意識してきました。それ故に、ある意味きっちりすることを意識しすぎて、職員に伸び伸びと新しいことに冒険するマインドが見られなくなりました。今のミドル層はガバナンスに合った管理者になることを重視し、言われたことをきっちりやることには長けてきて、組織力も高まったと思います。しかし一方で自分自身で判断をするという訓練をしてきていないのです。職員が権限を持って、一つの業務において全てを決断してその責任を担っているかと言われるとそうでもなく、職員の業務の中にも教員が様々な形で関与しており、何気なく判断や責任を担って頂いています。もしいきなり権限を与えられても、そういう訓練をしていないのでとてもできないと尻込みしてしまうでしょう。司会 実は先日実施した学長調査(P6〜参照)の「部課長層の職務遂行能力に対する現状評価」の結果の中で顕著に出ていたのが、「運営、組織、効率性」はできているが、「固定観念にとらわれない新たな発想力」「新たな課題を発見し挑戦する姿勢」「企画・構想力」といったイノベーションやチャレンジに関する項目が低いということでした。今のお話から、そういうところが要因なのかもしれないと感じました。佐々木 確かに、職員にはもっと企画提案して欲しい、できる人がいないと言われます。実は先ほどの層の話で言うと、本学では生え抜き層は結構自由にやりたいことをやらせてもらって教員とも言いたいことを言い合えた経験を持っているので、企画提案についても非常に積極的です。一方、40代の層は転職者も多く、本来ならば企業で鍛えられた人が課長層として面白い改革をしてくれる世代なのですが、ガバナンスがっちり時代に職員となったため、実は冒険したことがなく、新しい取り組みをしたこともない。だから下の世代にも挑戦させることができない。そこが今、非常に課題だと感じています。空白のミドル世代に今からでも冒険をさせなければ、若い人達がイノベーションを起こそうというときにうまくマネジメントできません。吉武 今のお話はすごく本質的な問題で、講演でも「リーダーシップはどうすれば育つのか」とよく質問されます。ガバナンス改革と言うと学長のリーダーシップかトップダウンだと思ってしまう人が多いのですが、どの構成員であってもリーダーシップは発揮すべきなのです。それには、20~30代の若い時代にリスクを取って仕事をして、失敗や成功から学ぶ経験をすることが大切とされています。多くのことを教員が決め、大きな事務的方針は理事会が決めるという大学の枠組みのなかで、職員がリスクを取って何かに挑戦できる機会をどう作り上げていくのかが大きな課題です。そのような経験を経て、変革を主導するミドルが育っていくのではないでしょうか。特集 大学経営を支えるミドルマネジメントRoundtable座談会大学全体の教育研究機能を活性化させるため、第一義的には大学自らが組織マネジメントを確立することが重要。●組織マネジメントの中で、大学経営の観点からも事務職員の役割を明確に位置付け、管理運営業務を委ねてみるという転換期。●教育研究機能を最大限に発揮するため、教職員の人事評価とともに、学部・研究科などの部局単位での評価を実施。●教職員一人ひとりが輝き、その役割を最大限に発揮し、大学のミッションや課題を自分事として捉え、行動することが重要。●時間は有限であり、タイムマネジメントという観点も重要であり、教員が教育研究活動に専念できるよう、入試業務を始めとして、教員が携わっている管理運営業務の見直しや事務作業等の改善・効率化を図るとともに、大学構成員の職務分担(権限と責任)の明確化などについて、民間企業等の取組なども参考にして進める。それによりサバティカル制度の活用も期待。●組織マネジメントを推進するため、大学の活動全体を横断的・俯瞰的に捉えた大学運営IR体制を確立。大学における組織マネジメントの確立・推進2020年11月5日 中央教育審議会大学分科会資料【「教育」と「研究」を両輪とする高等教育の在り方について(概要イメージ)】よりhttps://www.mext.go.jp/content/20201105-koutou01-1422495_0011.pdf

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