26リクルート カレッジマネジメント226 / Jan. - Feb. 2021いと良い人は採れない」という意味合いも含め、一緒にキャリアを作っていくムード作り、土台作りを始めています。去年の学内公募で異動した職員は、非常にモチベーションも高く活躍しています。年齢層は若い人が多いかと思いましたが、むしろ中堅からベテランの人のほうが積極的に応募されたという嬉しい誤算もありました。また、キャリアプラン・シートを改訂しました。今までは目標設定や成果報告が単年度で終わっていましたが、例えば私は課長になりたい、10年後にこういう仕事がしたい等、もっと長期的な視野で書けるようにしました。さらにそのキャリアプランについて管理職と職員がお互いに話し合う面談も、今年から初めて取り入れる予定です。つまり、キャリアは自分で形成できるということと、自分もその責任を持つのだという意識を醸成する趣旨です。もう一つ、別の取り組みとして、新型コロナ感染症の影響で部署の業務に大きな繁閑差が生じています。そこで他部署の職員が忙しい部署の兼務者等となって一緒に働く業務支援制度を行っています。このように、部署を超えて共に働く経験はプロジェクト制度として、より本格化させたいと思っています。全学横断的に人が集められ、目的を達成したら解散するといった流動的な動きのなかで、プロジェクトを通して経験やスキルを積み、自分のキャリアを形成し、次のステップへとつなげる。そういう仕掛けが必要だと痛感しています。今回実施しての発見は、ジェネラリストの人は比較的臨機応変に幅広く動けるのに対し、専門性が強い人は、逆にその業務を離れると活躍しにくいという点です。変化の激しいこれからの時代には、少し幅広に動けるような大学職員としての基礎力を育成することが重要になるかもしれません。司会 企業の人材育成で言うならば、会社側にあった人事権の軸を自分に持ってくるということですね。プロジェクト型で自分の組織以外の仕事をすることでさらに知見が深まり、エンプロイアビリティが高まるということですね。吉武 私が講演等で職員の皆さんに問いかけているのは、18歳人口が劇的に減っていくなかで、10年、20年先に自分の大学が存続していますか、そのときに地域の企業から来て欲しいと思われる人材に皆さんはなっていると思いますかということです。外で雇ってもらい食べていける状況は自分の責任でつくらなければなりません。そのためにはエンプロイアビリティを高める必要があるのです。自分の大学を当てにしない職員が増えればその大学の持続可能性が高まり、反対に誰もがエンプロイアビリティを高めずに大学に寄りかかってしまえば、持続性は下がってしまうのだということを理解してもらうこと。そのために、佐々木さんがおっしゃる「キャリアは自分で作る」という意識を持たせることが重要なのだと思います。その意識醸成を行うためにも、人事管理的な側面と、仕事の付与や、仕事の仕方といった業務的側面の両面でサポートしていくことが大事だと思います。大学組織への強いコミットメントとエンゲージメントを持てるのは職員のミドル層をおいてほかにいない。 (吉武氏)
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