カレッジマネジメント226号
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34 大正大学は大正15年に旧制私立大学として開学され、設立四宗派(天台宗、真言宗豊山派、真言宗智山派、浄土宗)および時宗が協働して運営する大学で、大乗仏教精神に基づく「智慧と慈悲の実践」を建学の理念とする大学である。現在では6学部3研究科を有する人文系総合大学で約5000名の学生を有する。専任教員、専任職員いずれも150名ほどの中規模大学である。大正大学における職員やミドルマネジメント層に期待する役割、育成の方向性等について、髙橋秀裕学長、平盛聖樹事務局長にお話を伺った。 大正大学では、中期マスタープランに基づいて大学改革を推進している。2009年から3年間の第1次中期マスタープランでは2学部を4学部に改組した。2012年からの6年間の第2次中期マスタープランの際に、運営ビジョンの中に、大正大学の社会的責任(Taisho University Social Responsibility:TSR)を宣言した。つまり、大正大学の全ての営みが社会貢献に結びつくのだという考え方を示した。経営者である理事会が「3つの経営基盤」を担保し、教職員が「5つの社会的責任」を果たすことによって、ミッション(使命)を達成するとともに、新たな価値を創造し、精神的・知的な満足を得られる大学へ成長することを目指すものである。TSRマネジメントシートというものを作成し、毎年自己点検評価を行うと同時に外部評価も受けている。この「3つの経営基盤」の一つが優れた人材の確保であり、教職員の資質向上、人事制度や研修制度が位置づけられている。第2次中期マスタープランでは、首都圏文系大学の中で、期待・信頼・満足度ナンバーワンの大学を目指すとうたったが、それを具現化するために、創立100周年を迎える2026年に向けた、第3次中期マスタープラン「魅力化(MIGs)2026アジェンダ」を2018年から進めている。第3次中期マスタープランは、大正大学 100 年、魅力化構想とそれを実現するための働き方の改革というタイトルがつけられている。「働き方改革をしっかりしないと大学の魅力化構想は実現できない」という思いが込められていると学長は話す。 こうした中期マスタープランの作成、運用を職員が支えている。第1次中期マスタープランでは、バランススコアカードを用いて作成したが、最初は若手・中堅職員と当時の学長・副学長・事務局長が入って作ったという。次第に、組織として成熟する中で、TSRの考え方の下でそれぞれの部署がボトムアップ的に事業計画書を作成するスタイルに変化してきたが、運用の面での職員が果たす役割は大きい。中期マスタープランを基に事業計画を作り、四半期ごとに進捗管理をして、1年に一度、自己点検評価をしているが、そうした検証作業は事務局が中心となって行っている。まリクルート カレッジマネジメント226 / Jan. - Feb. 2021髙橋秀裕 学長平盛聖樹 事務局長大正大学職員のあるべき姿と育成方針を明確化し、大学の魅力化につなげる中期マスタープランに基づく大学改革とそれを支える職員CASE2

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