40リクルート カレッジマネジメント226 / Jan. - Feb. 2021大学運営の高度化に向けて、課長等のミドルマネジメントを担う職員の役割は重要である。このようなミドルマネジメント層の育成の一つとして、大学間で連携して研修を実施するという方法がある。中小規模の大学が多い四国地区では単独の大学による研修の実施が難しいこともあり、国公私立の設置形態を超えた34の高等教育機関から構成されるSPOD(正式名は、四国地区大学教職員能力開発ネットワーク)によって、ミドルマネジメント層の研修の機会を提供している。本稿では、SPODにおけるSD専門部会長及び研修講師の一人の立場から、SPODにおけるミドルマネジメント研修を紹介し、ミドルマネジメント層の職員の育成のあり方について論点と課題を提供したい。SPODでは、ミドルマネジメント層が受講できる幅広い研修が提供されている。とりわけ、課長及び課長補佐相当級の職員を対象とするミドルマネジメント研修がある。ミドルマネジメント研修の正式名は、「大学人・社会人としての基礎力養成プログラム(レベルⅢ)」であり、キャリア段階別研修として新任職員研修から4段階目に位置づくものである。2010年から年1回実施している。ミドルマネジメント研修は3日間にわたって実施される。研修の目的は、「大学の管理職としての役割を理解し、組織の課題解決に向けた知識や実践方法を習得することができる」と設定されている。研修内容は、「戦略策定と組織運営」「メンタルヘルス・ラインケア実践」「人材マネジメント」「危機管理特論」の4科目から構成される。それぞれの科目には、3時間から6時間の比較的長い時間が割り当てられている。研修の講師は、実践面と理論面から参加者が学習できるように管理職経験者及び教員が担当している。主にSPOD加盟機関の教職員が担うが、外部講師を招聘する場合もある。参加対象者は国公私立の課長及び課長補佐相当級の職員であり、毎年20名程度集まる。そのため、参加者にとっては、自分と同じ立場にある他機関の職員と交流する機会にもなる。SPODのミドルマネジメント研修は参加型研修であることに特徴がある。どの科目においても参加者が個人やグループで考える課題が組み込まれている。これはSPODの研修全体の特徴でもあるが、特にミドルマネジメント研修では、複雑な事象を概念化して本質を把握するコンセプチュアルスキルが求められたり、例外的な事例に対する適切な処理が求められたりする課題を参加者が考える時間が多くとられている。具体的には、各大学の戦略を類型に当てはめてみて吟味する課題、学内における合意形成の方法を類型化する課題、特定の人材育成の場面での課長としての判断が求められる課題、危機管理のシミュレーションをグループで体験する課題等がある。それらの課題に取り組む中で、個々の参加者の過去の経験やその経験を通して培った持論が活用され共有される。研修での学習を深めるために、参加者には事前学習を課している。事前に送付する資料に対して考えをまとめておく学習等がある。今年度の研修では、『大学SD講座1 大学愛媛大学教育・学生支援機構 教授中井俊樹34の高等教育機関が参加するSPOD課長及び課長補佐相当級の職員が対象思考や持論を刺激する参加型研修大学間連携によるミドルマネジメントを担う職員の研修Contribution 2寄稿<大学間連携による育成>SPOD(四国地区大学教職員能力開発ネットワーク)
元のページ ../index.html#40