41リクルート カレッジマネジメント226 / Jan. - Feb. 2021の組織と運営』(玉川大学出版部)を課題図書とした。事前学習によって研修当日の知識提供の時間を減少して、課題発見や課題解決等の学習者の活動の時間を確保している。また、研修終了後には、研修における学習を振り返り、業務への活用を促すために、研修報告書の提出を課している。参加者の反響は、毎回のアンケートと研修報告書から一定程度把握することができる。アンケートにおいて、「研修で得た知識やスキルは自組織の改善に役立つと思う」「新たに人的つながりを作ることができた」「研修内容は満足できるものだった」といった項目に対しては、ほぼ全ての参加者が肯定的な評価をしている。アンケートの自由記述や研修報告書を通しても参加者の肯定的な意見が読み取れる。「高等教育機関で働く管理職としての自覚と責任を改めて感じる貴重な機会となった」といった意見は多く見られる。また、「教務に関する戦略策定では、ある程度の説明はできるが、同じ事項であっても、財務や人事からのアプローチはそれぞれ異なり、多様な意見を多面的に得ることができた」といった多様な視点で考える重要性を指摘する意見もある。さらに、「何よりも他の参加者とネットワークを築けたことが一番の収穫と考えている」といった他の参加者とのつながりの効果を指摘する意見もある。今年度のミドルマネジメント研修は、コロナ禍により参加者が対面で研修を実施することが難しいため、ZOOMを活用してオンラインで実施した。結果から先に述べると、これまでの対面での研修における学習の大部分はオンライン研修でも可能であることが分かった。ZOOMを初めて使用する参加者もいたが、オリエンテーションで利用方法を身につける時間をとることで、大きな問題なく研修を進めることができた。オンライン研修ならではの学習活動も取り入れられた。参加者全員が同時にチャットに書き込む活動は、様々な視点で検討すべき課題の際に役立った。また、匿名で参加者の意見の違いをすぐに共有できる投票機能、研修中での参加者によるチャットでの質問、講師による追加の資料のファイル送付等もオンライン研修の利点であった。一方で、オンライン研修の持つ課題も明確になった。それは、他の参加者とのつながりが対面型の研修のように十分にできなかったことである。対面型の研修であれば、初対面での名刺交換、休み時間における雑談、食事や情報交換会を通した交流等が含まれるが、オンライン上でそれらに代替する機会を作りだす工夫が求められる。最後に、ミドルマネジメント層の育成における課題を指摘したい。まず、大学のミドルマネジメント層の役割の変化への対応である。ミドルマネジメント層の役割は、学長のリーダーシップの強化等の運営体制の変化だけでなく、業務のIT化や組織のフラット化等にも影響を受ける。例えば、現在では学長等の方針は、学内のメーリングリスト等でミドルマネジメント層を経由せずに現場の教職員に伝えることができる。そのような環境の変化に対応したミドルマネジメント層の役割を明確にしていく必要があろう。次に、ミドルマネジメント層の育成が大学の管理に関わる全ての課題を解決する万能薬ではなく、育成は問題解決のための一つの方法と考えるべきである。組織体制、業務内容、配置、評価等の問題として捉えた方が良い場合もある。また、育成が求められたとしても、特定のプロジェクトを任せるといったOJTの方が適している可能性もある。研修を実施するなら、研修でこそ効果的に身につけることのできる成果を考慮して設計することが求められるであろう。特集 大学経営を支えるミドルマネジメント肯定的な参加者の評価オンライン研修の成果と課題ミドルマネジメント層の育成に向けた課題昨年までの対面型の研修の様子オンライン研修の映像
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