46リクルート カレッジマネジメント226 / Jan. - Feb. 2021文学部から、資格取得をメインとする薬学部まで専攻分野が広く、学部間の「温度差」もあるのではと尋ねてみたが、それも感じないと高野副学長は言う。「全学交流ダイアログなどで『薬学部では難しい』『文学部には馴染まない』などの声が出てくるので、それは調整します。時間はかかりますが、本学はそういう文化というか、何ごとについてもそういうやり方です」。そのようなやり方の一例として、カリキュラム・マップなど教学に関わる内容の調整を行う組織である大学教務委員会がある。各学部に、学科教務委員をメンバーとする学部教務委員会があり、学部教務委員長が選出されている。学部教務委員長は大学教務委員会のメンバーとなっている。このことにより大学全体・学部・学科が繋がり、情報の共有や意見のやり取りが密に行われる体制になっている。「『こういう形でやってください』といきなり決めて各学部におろすのではなく、『こういうことをやりたいと思います。学科としての意見をください』という形で、吸い上げて、原案を改良します。それで最終的には、概ね皆さん満足のいくものに落ち着いていく。情報を共有して、意見交換をかなり頻繁にしていることが大きいように思います」(高野副学長)。2017年度の3ポリシー整備からの一連の取り組みでも同様だったと渡辺学長補佐は言う。「例えばルーブリックを作るといっても、最初は何のことかよく分からない教員が大部分です。そこで、役職に拘わらずその分野に詳しい教員が、『全学交流ダイアログ』で解説役を務めます」。それによって、情報とイメージが共有でき、全体の導入でも、学位プログラム別のルーブリックを作成する局面でも、共有したイメージに沿ってスムーズに進んでいくということだ。渡辺学長補佐は続けて、職員の協力の大きさにも言及する。「例えばアセスメント・ポリシーの図表が、若干分かりにくい教員の原案から、学生向けのパンフレットに使えるレベルにまで分かりやすくなったのは、職員たちの協力があってこそでした。私の個人的な感触としては、金城のキリスト教をベースに、みんなで話し合って色々なことを進めていく、そして組織としてきちんと審議・承認はする、という体制が全体を通じてうまく働いていたと思います」。今後、学修成果の可視化の発展・活用については、カリキュラム・マップとの連動が考えられている。渡辺学長補佐はその狙いを「アセスメント・ポリシーに基づいてデータをとるだけではなく、学生自身が自分の成長を感じ、課題を把握して成長につなげてほしい。教員も、学生のアドバイザーとして、その学生がどういう状況にあるのかを知ってもらいたい」と語る。2021年8月までに学内ポータルサイト「K-PORT」を改修して、学生とアドバイザーの教員とがDP対応ルーブリックや、PROGテストの結果などを共有できるようにする。既に2019年度、カリキュラム・マップの全面見直し・整備をしており、両者を連動させることで、DPごとの単位取得数などを把握できるので、履修登録の際などの活用が想定されている。就職関連との連動、連携も考えられている。「卒業時アンケートなどにより就職の状況なども情報を収集していきます」(渡辺学長補佐)。卒業時、さらには卒業後のデータとも連携させることで、いっそうの教育改善につなげることも考えられる。高野副学長は、「社会への貢献ということを考えると、社会のニーズや、卒業生が自分の大学生活を振り返って評価する金城の教育の良さなどを見ていきたいと思っています」と言う。卒業生調査は、女子大学としての長い歴史の強みを活かすことにもなるだろう。「70代、80代までに至る卒業生の方への卒業生調査のデータを活用すれば、就職だけでなく、女性の一生涯のなかで、金城の教育がどう影響するのかまで、捉えていくことができるでしょう」(渡辺学長補佐)。こうした「卒業後」を見据えた計画の一方で、「入学前」も視野に入っている。学院の中学・高校との連携だ。「学院の中高には『Dignity』という金城学院独自の探究学習プログラムがあり、それのルーブリックを大学のDP対応ルーブリックと連動させていく取り組みを始めています。そういうところからも『一生涯、女性を支える』というコンセプトがうまくつながればと思っています」(高野副学長)。入学前から卒業後までを見据える(角方正幸 リアセックキャリア総合研究所 所長)
元のページ ../index.html#46