カレッジマネジメント226号
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6リクルート カレッジマネジメント226 / Jan. - Feb. 2021大学において職員が担うべき役割が質・量ともに増すなか、個々の成長を促しながら、その能力を最大限に発揮させることは、教育、研究、社会貢献及びこれらの基盤となる経営を高度化するうえで必須の課題である。改革で注目されている大学を訪ねると職員が意欲的に業務に取り組んでいる姿を目の当たりにすることが多い。仮説の域を出ないが、職員の職務遂行能力や職員組織の活性度が大学改革の成否に大きな影響を及ぼしている可能性は高い。その一方で、職員や職員組織が未だ従来の事務処理型を脱しきれないとの指摘も多い。職員自身が変化の遅い組織に疑問を持ち、閉塞感を訴えるケースも少なくない。背景にある問題の構造は単純ではなく、様々な要因が絡みあって今日の状況を生み出しているものと考えられる。学長のリーダーシップを強め、組織や制度を見直したからといって、容易に解決される問題ではない。このような状況のなかで着目したのがミドルマネジメント(以下ミドル)である。野中郁次郎・竹内弘高の二人の経営学者が日本から世界に向けて発信したThe Knowledge-Creating Company(梅本勝博訳『知識創造企業』東洋経済新報社、1996)は、「ミドルは、トップと第一線マネジャーを結びつける戦略的『結節点』となり、トップが持っているビジョンとしての理想と第一線社員が直面することの多い錯綜したビジネスの現実をつなぐ『かけ橋』になるのである」と述べ、「ミドル・アップダウン」という概念を提唱している。同書は、日本企業を対象に組織的知識創造の理論化を試みたものであるが、トップと第一線の結節点としてのミドルの役割の重要性は、企業にとどまらず多くの組織においても同様である。近年の大学では、学長のリーダーシップや教職協働が強調されてきたが、職員組織においてミドルにいかなる役割を期待するか、その役割を果たすためのミドル育成はどうあるべきかといった観点からの議論が十分に深められてきたとは言い難い。筆者自身、国公私立の経営に携わってきたが、ミドルが単に中間の階層を成すにとどまり、ミドル・アップダウンに象徴されるミドル固有の機能を果たしているのか疑問に感じることが少なくなかった。さらにいえば、本来ならば変革の起点となることを期待されるミドルが、変えること変わることを躊躇し、変革の障害になっていないだろうか。このような問題意識に基づき、大学におけるミドルの役割と求められる能力を明らかにし、変革を主導するミドルをどう育てあげるかについての示唆を得るために、『ミドルマネジメント(部課長層職員)の役割と育成に関する調査』として、全国国公私立大学の学長を対象に、2020年9月東京都公立大学法人理事・筑波大学名誉教授吉武博通『ミドルマネジメント(部課長層職員)の役割と育成に関する調査』報告Research result調査データ変革を主導するミドルをどう育てあげるか※任期付き職員等の判断については、各大学の判断に基づいた回答を反映ミドルはトップと第一線の結節点問題意識と調査目的

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