12リクルート カレッジマネジメント227 / Mar. - Apr. 2021世界中で人の移動が制限される未曽有の事態への対応国際交流の新たな可能性を見いだせた「COIL」上智大学が全ての海外留学の中止を発表したのは、2020年3月中旬のこと。グローバル化推進担当副学長の杉村氏は「先の状況が見えない中で今日・明日で決断しないといけないことの連続だった」と当時を振り返る。「1月下旬頃から対応の検討を始め、2月初旬には中国への渡航禁止を、3月頭には国外に滞在する学生全員に帰国を呼びかけました。そして、3月中旬に20年度春学期の海外留学中止を周知。当然『渡航したばかりで帰りたくない』と訴える学生もいて、グローバル教育推進室の職員は受け入れ・送り出しに関わるオペレーションだけでなく、個々の学生に対するフォローも求められ、だいぶ苦労をかけたと思います」。室長として一連の対応を牽引した佐藤氏は「呼び戻した学生のフォローには特に気を配った」と振り返る。「履修途中の科目の単位の扱いをどうするか、日本からオンラインで受講するのか・できるのか等、学生の希望を聞き取りながら交換先と連絡をとり、可能な道を探りました」。結果、交換先の方針と本人の希望が合致し、現在も日本からオンラインで交換先の授業を受けている学生もいれば、対面のみ、あるいはオンラインだが留学生は受け入れないという決定がなされたために上智大学に復学した学生もいる。また、外国人留学生の受け入れに関しては、春学期からオンラインでの受け入れ態勢を整えたという。「正規の外国人留学生については、春学期から本学の授業がオンラインで実施されたため、新入生・在学生ともに、日本への入国が叶わない学生でも、自国から本学での授業を履修しました。交換留学生については、春学期は、前学期から留学中の留学生約100名が、日本に留まりながら本学での留学を継続し、オンラインで授業を履修しました。秋学期は、新たに本学への交換留学を希望していた学生のうち、オンライン留学を希望した学生約20名が、それぞれの国からオンラインで本学の授業を履修しました」。渡航が不可能になった中、上智大学が推し進めたのが「COIL」(Collaborative Online International Learning/国際協働オンライン学習)、即ち、ICTを活用したオンラインによる協働学習と国際交流を取り入れた教育手法だ。上智大学は、文部科学省の「大学の世界展開力強化事業」において、お茶の水女子大学、静岡県立大学と3大学合同の構想「人間の安全保障と多文化共生に係る課題発見型国際協働オンライン学習プログラムの開発」の採択を2018年に受け、米国10大学とも連携してCOILを進めていた。「特にカリキュラム上留学期間をとりづらい看護学科で力を入れており、本学と静岡県立大、アメリカ、モンゴルの大学を結んで国際保健・看護関連の授業を行う等していました。それが、20年春学期の授業のオンライン実施のために全学でZoomを契約したことで、他学部や他科目でも一気に進んだのです」と杉村氏は話す。米国10大学以外とのCOIL授業も増えていき、今年度行われたCOIL型授業は、総合グローバル学科や環境系の科目、美術史、日本研究、教育学等で20を超える。参加学生は21年1月時点でのべ1100名に上っているという。「COILの場合、日本の教室にいながら海外の学生と協働(1) 留学・グローバル教育への対応学生の学びと活動を止めない大学の取り組み上智大学グローバル化推進担当副学長杉村美紀氏グローバル教育推進室長佐藤和美氏
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