19しながら、考え方は一貫している。オレンジ色の矢印は学内の資源を使っての学生への働きかけであり、緑の矢印は学生を学内外の活動に引き出す仕掛けである。主だったものを紹介しよう。この課題に、まず立ち向かったのが、カウンセリングセンターである。金沢工業大学のカウンセリングセンターは、通常業務である学生相談に加え、学内の心理科学研究所とタイアップし、研究によって得られたエビデンスにもとづき対策を講じてきたことに特色がある。今回も、学生への調査によって、1年生と就活を始める3年生が最も孤立感を高めており、精神的な安定性を欲していることが明らかになった。そこで、それぞれに合わせたプログラムを開始することにした。1年生に対しては、最初に履修する全員必修の「修学基礎A」を用いた。もともと学習習慣、生活習慣の確立を目的とした科目であり、このなかに、自分の強み探し、グループディスカッション、自分のキャリアのデザイン、ときには、教員との1対1の面談等を導入して、自己肯定感を高め、同級生とのつながりを模索した。この科目が持つ機能を、より意識的、積極的に利用したのである。図表2は、カウンセリングセンター、心理学研究所、修学基礎Aの連携がどのように学生の精神面、学習面での効果を発揮したのかをまとめたものである。学生は、ポジティブな感情を持ち、他者との関係の構築ができてはじめて、自分の生きる意味を自覚し、目標に向かって歩むというサイクルを示している。このサイクルがうまく回り始めた学生は、学習にも意欲的になり、成績も向上したという。また、「スポーツ考房」、これは学内のトレーニングルームであり、多様なエクササイズマシンが用意されている。「心身が整ってこそ」という学長の言葉の通り、「スポーツ考房」は、1日1回は身体を動かすことで心身のリフレッシュができ、ポジティブな感情を持てるようになるとを学生に呼びかけた。ここで看過できないのが、先輩の果たす役割である。これまでにも、学部生のシニアSAや大学院生のTAが、授業を聴講し、当日の夕方に、分かりづらいと思われる箇所をまとめて学生に解説するという「教え合い」をしてきたが、オンライン授業になってこれが効果を発揮した。「4年生や大学院生は研究室での活動を通じて、下級生を個別に面倒みることに慣れていますし、1年生も先生には質問しづらくても、先輩ならば気は楽になるでしょう。これによって、学習の不安だけでなく、生活の不安の解消にもなったと思います。」と、学長は語られる。リクルート カレッジマネジメント227 / Mar. - Apr. 2021図表1 コロナ禍でもいきいきと大学生活を送るための支援の仕組み図表2 カウンセリングセンター⇔心理科学研究所⇔修学基礎A(1年次必修科目)の連携による、学生がいきいきと大学生活を送るための支援進路開発センターカウンセリングセンター社会実装プロジェクト地域連携プロジェクトネット環境の構築 ⇒生活と心身のケア⇒教員・先輩・社会とのつながり ⇒大学での学び⇒地域・社会での学び情報処理センター学生ステーション部活・サークルスポーツ考房国際交流センター遠隔と対面のハイブリッド授業~電子シラバスで運用~教え合いの制度修学基礎科目PBL科目数理基礎科目学内アルバイトSDGs推進センター学友会活動・孤立させない・人とのつながり・心身のケア大学と社会での学びPERMAモデル(Seligman,2011)の活用Positive emotion ポジティブ感情・うれしい・面白い・楽しい・感動・感激・感謝・希望・満足等Engarement 何かに没頭する・時間を忘れて何かに積極的に関わるAccomplishment 達成・何かを達成するMeaning(生きていく)意味・自分は何のために生きているのか・自分ともっと大きなものとの関係を意識するRelationships 他者とのよい関係・援助を受ける・与える特集 ニューノーマルの学生支援
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