カレッジマネジメント227号
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26リクルート カレッジマネジメント227 / Mar. - Apr. 20212020年に生じた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の社会的影響は、年度末を迎えるなかでも収束の見通しは立たず、2021年度においても、大学経営・大学教育・学生生活に大きな影響を与えることが予測される。各大学にとってCOVID-19の感染拡大を防ぎつつ大学教育、学生支援をどのように進めていくかが大学運営の大きな課題であり続けるだろう。コロナ禍の影響が長期化するなかで、持続可能な教育研究の体制を整備し、継続的な学生支援を通じて、大学が社会的役割を果たしていくためにどのような課題があり、どのような取り組みが求められるだろうか。本稿では、2020年度の各大学の学生支援の状況や大学教育への影響について、調査結果を紹介することを通じて、次年度に向けたコロナ禍のなかでの学生支援・大学教育のあり方を考えてみたい。まず、2020年度に各大学がどのような学生支援を行ってきたのかを確認しておきたい。2020年4月以降、各大学はキャンパスへの入構制限、対面授業から非対面による遠隔授業(オンライン授業)への転換・併用、対面授業における感染予防対応策の実施等、感染拡大を防ぎながら大学教育を提供しつつ、経済支援を含めた学生支援に取り組んできた。各大学の学生支援の実施状況について、文部科学省の公表資料(1)から全体状況をみると、12月2日時点において、全国の国公私立大学(短期大学を含む)及び高等専門学校(以下、大学等)の98.3%において後期分授業料の納付猶予措置が取られており、86.4%において授業料の納付猶予・分納・減免以外の学校独自の支援措置が行われている。学校独自の支援措置の実施状況は、「給付措置」64.5%、「貸与措置」31.5%、「物品支援」48.7%とされており、多くの大学等が学生支援に取り組んでいることが示されている。国の学生支援緊急給付金や奨学金制度の対象拡充と併せて、コロナ禍に対して多様な学生支援が実施されてきた。しかし、個々の大学でみれば、学生支援の取り組み状況には差もみられる。大学等の設置形態を超えた全体状況についての調査ではないが、日本私立大学協会附置私学高等教育研究所(私高研)が、2020年8月に日本私立大学協会加盟校(409校)に行った調査(2)を用いて、学生支援の取り組み状況とその課題をみてみたい。まずは、学生支援の前提として、学生の経済的な環境の悪化を各大学がどのように捉えていたのかを確認するために、経済的理由の休学・退学の状況を尋ねた結果を示したものが図1である。経済的理由による休学・退学者数は2割程度、経済的理由による休学・退学の相談件数は3割程度が「増加(大きく増加+やや増加)」したとする一方で、多くの大学は「ほとんど変わらない」と認識していた。しかし、学費に関する相談件数については、4分の3の大学が「増加」したとしていた。学費の相談の増加には、大学キャンパスへの入構制限や遠隔授業の実施に伴い大学の学費のあり方そのものが議論されたこと等も背景にあると考えられるが、コロナ禍による家計や学生自身の経済状況が悪化する中で、学費の負担感が増大していたことも各大学の学生支援の状況と課題学費に関する相談件数が増加寄 稿千葉大学大学院 国際学術研究院 准教授白川優治コロナ禍における学生支援・大学教育の取り組みと示唆大学としての継続的・組織的な対応が課題大学の支援状況調査

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