カレッジマネジメント227号
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27リクルート カレッジマネジメント227 / Mar. - Apr. 2021あるだろう。学費に関する相談の増加は、各大学が学生支援の充実を図る具体的背景として重要である。それでは各大学はどのような学生支援を実施したのであろうか。そのことを示した結果が図2である。12項目の学生支援策について、「実施している(全員に実施+希望者全員に実施+一部の学生に実施)」か、「実施していない」かの観点から、その実施状況をみると、「学費の納付期限延長・分納」88.3%、「大学独自の修学支援金や奨学金などの給付」55.7%、「情報機器等の貸与」46.3%が、相対的に多くの大学で実施されていたことがわかる(なお、前述の文科省の公表資料に合わせて項目を整理してみると、(何らかの現金の)「給付措置」69.6%、(同)「貸与措置」19.7%、「物的支援」51.8%であった)。しかし、この実施状況を、「全員に実施」「希望者全員に実施」「一部の学生に実施」という支援対象の観点からみれば、必ずしも「全員」「希望者全員」が対象とされているわけではなく、「一部の学生に実施」にとどまっている項目が少なくないこともわかる。このことは、大学がその支援策を実施していた場合でも、希望しても支援を受けられないケースがあることを意味しており、支援を必要とする学生が必要な支援を受けられていない可能性を示唆している。どのような範囲で学生支援を行うかは、財政的な制約もあり、大学経営上の判断にも関わる。他方、緊急時には幅広く学生を支援することが望まれる。学生支援において、支援対である。学生数の多い大規模大学では、学生支援の実施項目も多く、多様な学生支援策が行われている一方で、小規模大学では実施項目数が少なく、対応が限定的であることがわかる。コロナ禍のなかでの学生支援には、大学間の格差がみられたのである。次に、コロナ禍が大学教育の現場に与えた影響についてみていきたい。象の範囲と規模の設定は重要な論点であり、コロナ禍における学生支援においてもその課題が現出していたと言える。さらに、このような学生支援の取り組みには、大学による差も存在する。図2の学生支援の12項目について、「実施している」「実施していない」の区分を用いて、大学別に実施項目数を集計すると、実施項目が0項目の大学もみられた。そこで、大学による実施状況の違いをみるために、学生支援の実施項目数と学生規模との関係を示したものが図3特集 ニューノーマルの学生支援0102030405060708090100(%)経済的理由による休学・退学者数経済的理由による休学・退学の相談件数学費に関する相談件数やや減少したやや減少したほとんど変わらないやや増加した大きく増加した0102030405060708090100(%)実施していない無回答一部の学生に実施希望者全員に実施全員に実施学費の納付期限延長・分納大学独自の修学支援金や奨学金などの給付情報機器等の貸与情報機器等の購入費の給付通信機器の貸与学費の減免学生アルバイトの雇用大学独自の修学支援金や奨学金などの貸与通信費の給付休学制度や長期履修制度の弾力的運用印刷費用などの給付情報機器等の現物給付0102030405060708090100(%)全体(n=309)3000人以上(n=78)1000-2999人(n=118)501-999人(n=63)500人以下(n=50)実施項目数(5-9項目、 n=80)実施項目数(3-4項目、 n=117) 実施項目数(0-2項目、 n=112)大学の支援が一部の学生に留まるケースもコロナ禍の大学教育への影響と課題図1 学生の休学・退学に関する状況 (2020年8月・私高研調査より、n=309)図2 学生支援の実施状況 (2020年8月・私高研調査より、n=309)図3 学生支援の実施状況×学生規模 (2020年8月・私高研調査より)

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