カレッジマネジメント227号
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42法人化以降の国立大学では、学長選考に納得のいかない教職員が批判の声をあげ、学内外に波紋が広がるということが幾度か繰り返されてきた。多くは、学内で実施された意向投票の結果と学長選考会議の決定が異なる場合であり、そのことがきっかけとなり、プロセスの適正性や結果の妥当性が問題視されたものである。また、近年は学長の再任回数の上限撤廃や意向投票の廃止などが批判の的となる事例も生じている。広く報じられ、社会的関心を集めた東京大学の場合、意向投票の対象となる第2次候補者の決定をめぐり、教員有志、学内15部局長、元理事有志から質問状や要望書が提出される事態となり、次期総長予定者決定の公表後、第三者委員会が設置され、総長選考プロセスの検証が行われた。同年12月に総長に提出された報告書は、次期総長予定者の決定は正当に成立し、全く問題ないとしたうえで、学内委員の在任期間、総長選考会議の運営、学内構成員に対する情報提供、総長選考会議の事務局機能について改善が必要と指摘している。これを受けて、五神真総長が、総長選考会議の運営に混乱が生じ、東京大学のガバナンスに対する社会的信頼に負の影響を及ぼしたことを深く反省するとのメッセージを公表している。また、筑波大学では、再任回数の上限撤廃と意向投票の廃止に一部の教職員が反発していることが報じられている。同じく再任回数の上限撤廃と意向投票を廃止した大分大学では、2011年に就任した現学長が3期目となるなか、学部長選考や教員人事をめぐり大学運営に対する反発が強まり、全国の法学研究者が連名で声明を発表する事態に至ったと伝えられている。意向投票については、法人化当初から実施していない大学もあり、それ以降廃止する大学が徐々に増えている。また、筑波大や大分大以外にも再任回数の上限を撤廃した例が見受けられる。法人化後17年が経過するなか、同じ法の枠組みの下にありながら、国立大学法人の学長選考の方式、実際の運用、教職員の意識には大きな差が生じているのである。国立大学法人法は、学長の任命について、国立大学法人の申出に基づいて、文部科学大臣が行うとし、その申出は、経営協議会の学外委員で経営協議会から選出される者と教育研究評議会の代表者が各同数で構成される「学長選考会議」(委員総数の3分の1以下を条件に学長又は理事を加えることができる)の選考に基づき行うと定めている。また、中央教育審議会大学分科会が2014年2月に示した「大学のガバナンス改革の推進について(審議まとめ)」では、国立大学法人等の学長選考について、「過度に学内の意見に偏るような選考方法は適切とは言えない」と述べるとともに、学長の任期についても、「過度に短い場合には、大胆な改革を行うことは困難であり、各大学の中長大学を強くする「大学経営改革」学長の選考とトップ人材の育成について考える吉武博通東京都公立大学法人 理事筑波大学名誉教授リクルート カレッジマネジメント227 / Mar. - Apr. 202191同じ法の下にありながら異なる国立大学の学長選考方法大学をより良き方向に導く学長をどう選ぶかということこそが問題の本質

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