カレッジマネジメント227号
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45リクルート カレッジマネジメント227 / Mar. - Apr. 2021育成と人材バンクの形成を目指して、2018年度よりユニバーシティ・デザイン・ワークショップ(UDWS)という研修会を開催している。国立大学長と大学共同利用機関法人の長が推薦する幹部教職員(役員、副学長、事務局長、部局長等)が2泊3日で合宿を行う(2020年度はコロナ禍のため2日間のオンラン開催)。目的として、①高等教育を取り巻く環境、政策、内外の大学の動向等の理解、②ビジョンを構想する視野と能力の養成、③戦略を構築し、組織・仕組みを整え、遂行する能力の養成、④多数の構成員の理解を得て、巻き込み、実行するリーダーシップの涵養、⑤参加者間のネットワーク構築、の5つが挙げられている。参加者には、課題図書の講読、オープンコースウェア(東北大学PDP ONLINE)の受講、事前・事後レポートの作成が求められる。2泊3日の日程は図の通りであるが、講演、スモール・グループ・ディスカッション(SGD)は3回、全体討議が2度繰り返されている。なかでもSGDに多くの時間が充てられている。終了後の受講者の評価は総じて高く、2018年度の参加者47名のなかから既に4名が学長に就任、1名が就任予定となっている。主催者である国立大学協会の山口宏樹専務理事(前埼玉大学学長)は、「大学トップは自身の大学を知ることから始める。この点、大学に長年勤め、教育・研究に長けた大学人は強い。ただ、人材移動の少ない日本にあって、井の中の蛙となりかねない。特に研究者である教員は縦方向に深く掘り下げることは得意だが、横方向全方位を見ることに慣れていないようだ。UDWSは、大学を取り巻く環境や動向に目を配りつつ、大学マネジメントについて自ら考え、他者との対話を繰り返して視野を広げる場。参加者とファシリテーターの熱意に支えられつつ、さらに進化させたいと思う」と語る。筆者もこのUDWSに企画段階から携わってきた。参加者である幹部教職員の多くは研究者だが、これまで接してきて強く感じるのはその純粋さである。純粋であるからこそ、マネジメントという自分の専門外の事柄を真摯に学ぼうとする。その姿勢を持続させることができれば、変革を主導できるリーダーに近づくはずである。日本の大学の学長ポストは、国公私立合わせて800足らず。政官財から心配されなくとも、人材の発掘と育成の環境さえ整えることができれば、アカデミアだけで十分に賄える規模である。今の大学に必要なのは、このような気概と行動力ではなかろうか。【参考文献】両角亜希子編著(2019)『学長リーダーシップの条件』東信堂広島大学高等教育研究開発センター(2012)「諸外国の大学の教学ガバナンスに関する調査研究 −米国・英国・フランス−<最終報告書>」【参考】ユニバーシティ・デザイン・ワークショップ日程表(2019年度の例)1日目:8月30日(金) (補足説明1) ・「SGD」はスモール・グループ・ディスカッションの略 ・「多様性グループ」は大学の規模・類型にかかわらずに編成 ・場所はクロス・ウエーブ府中(府中市) (補足説明2) ・講師の役職はいずれも講演当時 ・有川節夫氏は九州大学前総長としての経験を中心に講演 ・松尾清一名古屋大学総長が主催者である国立大学協会事業実施委員会委員長として全日程出席2日目:8月31日(土)講演②コマツのイノベーション戦略講師:野路國夫 コマツ特別顧問講演①国立大学に求められるマネジメントとリーダーシップ講師:吉武博通 首都大学東京理事講演③ 大学をどのようにして改革してきたのか講師:有川節夫 放送大学学園理事長SGD①多様性グループ別により実施SGD③多様性グループ別に実施SGD②規模・類型グループ別により実施全体討議②全体討議①夕食(グループごと)終了後 別会場で意見交換会レセプション昼食(グループごと)メンバー顔合わせオリエンテーション・イントロダクション昼食(グループごと)まとめ、修了式3日目:9月1日(日)9:309:3015:3015:0018:00

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