カレッジマネジメント228号
14/62

14リクルート カレッジマネジメント228 / May - Jun. 2021学者数が増えなかったため充足率は下降している。特に保健系、農学系、体育学、家政学の4系統は5ポイント以上下降し、家政学にあっては充足率100%以上であったものが100%未満となっている。D:充足率が下降、入学者数も減少したグループ歯学、薬学の2系統が該当した。両系統とも充足率は100%未満であり入学者数の減少幅も大きく学生確保が厳しい状況がうかがえる。両系統ともに修業年限が6年間で授業料等の経済的負担が大きいこと、国家試験合格率が平均合格率を下回る学校が少なくないこと等が厳しい状況の要因と考えられる。図表7は、2015年度と2020年度の地方私立大学別の入学定員充足率の分布状況である。100%以上の学校は103校(42.9%)から155校(62.2%)に増加している。また、2015年度では、50%以上100%未満の学校が各区分10から40校程度あるのに対し、2020年度では、「60%以上70%未満」「70%以上80%未満」の2区分で学校数が大きく減少し、90%以上130%未満の区分で学校数が増加している。このことにより、個別大学においても入学定員充足状況が改善していることが分かる。以上のように定員管理の厳格化の導入開始前後の入学定員充足状況について分析をしてきたが、各私立大学は、地域における知識技術の創造拠点として「建学の精神」に基づき、多様性に富み独創的な教育研究を行うとともに大学教育研究の充実を常に図っており、このことが受験生や地元企業等からの評価を高め入学者数の増加につながっていることを忘れてはならない。18歳人口は2021年度から再び減少期に入り、10年後の2030年度においては全国平均で約10%減少する見込みであるが、地方の平均減少割合は約13%で全国平均より高く、特に東北、関東、北陸、甲信越の4地域では15%を超えている。今後、進学率の急激な上昇がなければ18歳人口が減少することで入学者数も減少するので、地方の私立大学にあっては、入学者の確保についてさらに厳しい環境になることが予想される。地方では経済的に負担の少ない地元の大学を選ぶ傾向があり、地元志向が強いと考えられているが、今後は、地元出身者のみならず他県からの入学者を確保することも重要になってくる。このため各大学においてはさらなる教育改革等を行い、地域に必要とされる魅力ある大学づくりをさらに進めていくことが必要と考える。図表7 地方の入学定員充足率別学校数(2015年度・2020年度) 〔地方:学校所在地による〕(校)(%)※ 入学定員充足率(各私立大学ごとに算出) = 入学者 ÷ 入学定員01020304050607080130~120~130110~120100~11090~10080~9070~8060~7050~60~50100%未満(2015年度137校 2020年度94校)100%以上(2015年度103校 2020年度155校)57113317341431253942464363112430682015年度2020年度〔2015年度n=240校、2020年度n=249校〕さらなる教育改革等を行い、地域に必要とされ魅力ある大学づくりを!まとめ充足率100%以上の学校が増加個別地方大学の動向

元のページ  ../index.html#14

このブックを見る