32リクルート カレッジマネジメント228 / May - Jun. 2021高等教育機関(以下「大学等」という。)は、地域の「知の拠点」として、これまでも地域における教育機会の確保や、地域経済・地域社会を担う人材育成等を通じて、地域の発展に寄与してきた。昨今の地方創生の動向に鑑みると、大学等と地域社会との関わりそのものが、今後の地域社会や高等教育のあり方を考えていく上で重要なポイントになる。人口減少、産業構造の変化、グローバル化、一極集中型から遠隔分散型への転換といった変化の中で、各地域における課題は非常に複雑かつ困難で、また絶えず変化しており、大学等のみならず、地方公共団体、産業界等が互いの立場を越えた多面的な連携に基づき、Society 5.0の実現に向けて取り組むことが今以上に重要である。こうした課題を乗り越えるために、大学等、地方公共団体、産業界等が一体となった恒常的な議論の場を構築することで、地域の実情や課題を把握し、地域の将来ビジョンを共有するとともに、質の高い教育機会の確保や人材育成、産業振興やイノベーション創出等、大学等を含めた地域社会の維持発展を図るための仕組みが必要であり、これが「地域連携プラットフォーム」である。2018年11月、中央教育審議会は、「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」を答申した。そこで、地方における高い能力を持った人材育成は、教育界だけではなく、産業界を含めた地方そのものの発展とも密接に関連する課題であり、高等教育の将来像を国が示すだけではなく、それぞれの地域において、大学等が地方公共団体や産業界等を巻き込んで、それぞれの将来像となる地域の高等教育のグランドデザインが議論されるべき時代を迎えているとの認識を示した。そして、地域の大学等が高等教育という役割を越えて地域社会の核となり、地方公共団体や産業界等とともに将来像の議論や具体的な連携・交流等の方策について議論する「地域連携プラットフォームの構築」が提言され、国による「ガイドライン」の策定が求められた。本答申を受けて、地域ごとに人口動態、人口の流出入、大学等への進学率、所在する大学等の規模・分野、地域経済や産業構造、文化的・歴史的背景などが様々であることに留意し、各地域において、「地域連携プラットフォーム」(以下「プラットフォーム」という。)の構築が主体的かつ円滑に進むよう、「地域連携プラットフォーム構築に関するガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)を策定した。ガイドラインは、各地域における地域連携の取り組み事例や地方創生の動向等も踏まえつつ、中央教育審議会での議論を経て、2020年10月に取りまとめられた。以下、ガイドランの概要について解説する。大学等は地域社会において活躍する人材を育成するの地域連携プラットフォームとはガイドライン策定の経緯と狙いガイドラインの概要(1)地域連携プラットフォームの必要性と意義文部科学省高等教育局高等教育企画課 課長補佐奥井雅博「地域連携プラットフォーム」の構築と活用──より良い活用に向けたガイドラインの解説(4)競争から協働・共創へ寄 稿
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