38リクルート カレッジマネジメント228 / May - Jun. 2021長崎県で注目すべきは、こうした県の政策に呼応する形で、県内の大学でその流れに沿った改革が見られることである。長崎県下には国公私合わせて10の大学・短大があるが、特に「社会ニーズと技術革新に照らした新たな基幹産業の創出」「Society5.0実現に向けた推進体制の構築」に対応し、2016年に長崎県立大学が四年制大学では日本初となる情報セキュリティ学科を、2020年には長崎大学が情報データ科学部をそれぞれ開設した。これについては、県の政策に対応した動きを何らかの形で降ろしているわけではない。県と県内大学とは日頃から庁内各課がそれぞれの分野で連携・協働を図っており、前述した2040年研究会のメンバーにも県内大学・短大からの参画メンバーが存在する。そうしたネットワークやコミュニケーションから大学側も課題意識を引き取り、県と方向性を同一にする施策が自発的に生まれているのだという。なお補足として、県立大学については県が公立大学法人の設立団体であることから、県が定める中期目標を達成するための中期計画を定めており、県の課題や方向性も踏まえながら教育研究や地域貢献等に取り組んでいるという。具体的な取り組みを以下に列挙する。○大学の強みである、全国初の情報セキュリティ学科の定員増などによる情報系人材の育成の強化や海外ビジネス研修や海外語学研修等によるグローバル化に対応した人材の育成○長期インターンシップや本県特有の「しま」でのフィールドワークなど地域に根ざした実践的な教育の実施○佐世保校建替えなど教育環境の整備・充実○全国初の情報セキュリティ学科を有する長崎県立大学において産学連携の拠点となる情報セキュリティ産学共同研究センター(仮称)を整備。(企業との共同研究等を推進するとともに、実践的な教育を通じて即戦力となる高度専門人材の育成と県内産業の振興を図る)新産業に資する県内大学の人材育成・研究蓄積図表2 2040年に向けて見込まれる技術の進展高速道路での自動運転(レベル2、3)自家用車物流サービス移動サービスセンシング制御駆動自動運転ロボット通信限定地域での無人運転サービス(レベル4)タスクに関連した幅広い情報を幅広い環境から取得できる5G(第5世代移動体通信):単方向での超大容量×超大量接続×超低遅延のネットワークに。IoTの普及を後押し6G(第6世代移動体通信):双方向での超大容量×超大量接続×超低遅延のネットワークに。クリティカルなアプリケーションも、ワイヤレスに実験的なロボット室内や屋外を人のように歩いたりすることが可能に音、視覚、GPS等の幅広い情報を収集し、ナビゲーションや人とのやり取り等に活用複数のロボットが連携したソリューション商用化商業面等での人型歩行ロボットの実用化より効率的でスムーズな歩行等が可能に全国各地での無人自動運転の実現(レベル4)高速道路での完全自動運転(レベル4)高速道路での完全自動運転(レベル4)あらゆる自動車サービスが人間と同等以上の技術で全ての道を天候に関わらず運転することが可能に人間の行動範囲を殆どカバーできる機能を有する超大容量の情報伝達が双方向で可能になり遅延がほとんどなくなるより自由に使える時間が増えたり、身体が弱っても移動が比較的容易に人のタスクの多くを代替することが可能になり、業務を効率的に分担できるようになる・ワイヤレス接続でのコミュニケーションで、例えば高精細画像の伝送でも時間のずれを感じなくなる・IoTに伴うより多くの端末との接続ができる202020302040技術進展により実現可能になると言われていること(例)提供可能になる価値出所:Computer Research Association “A Roadmap for US Roboitics – From Internet to Robotics”、官民ITS構想ロードマップ、総務省資料より作成ロボット、自動運転等の基盤技術は、2040年に向けて進化していくと考えられる
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