カレッジマネジメント228号
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56リクルート カレッジマネジメント228 / May - Jun. 2021技術政策動向を把握できるようになった(82%)、外部研究資金の獲得額が増加した(78%)、研究活動・成果に関する広報が活性化した(73%)、他機関との共同・受託研究(産学連携等)が増えた(67%)などを挙げている。なお、これらの数字は「大変効果があった」「やや効果があった」を合わせた比率であり、前者に限るといずれも10%台後半から20%台であることに留意する必要がある。文部科学省「大学等における産学連携等実施状況について」(2021年1月)に基づいて導入状況を確認すると、URAを配置しているのは2019年度において177機関、内訳は国立大学等81、公立大学等20、私立大学等76となっている。2016年度の102機関からわずか3年で1.7倍となり、とりわけ私立大学の増加(32→76)が顕著である。また、全機関合計の配置人数は、本格導入が始まった2011年度の323人から年々増加し、2019年度では1507人に達している。2015年3月にはリサーチ・アドミニストレーター協議会(RA協議会)も発足、2020年9月時点で会員数約550名の組織に発展している。同協議会が行った「会員実態調査2020」(2020年9月)によると、約6割が過去に研究職として研究に従事した経験を有している。また、約7割が任期あり雇用で約3割が任期なし雇用、裁量労働制は45%でそれ以外は55%、6割近くが年俸制の給与体系となっている。また、URAを如何なる職種として位置づけ、処遇するかについては、「教員に準じた扱い」「事務職員に準じた扱い」「新たな処遇体系を整備(いわゆる第三の職種)」の三通りがあり、機関によって位置付けは異なる。このようななか、文部科学省が設置した検討会は、「リサーチ・アドミニストレーターの質保証に関する認定制度の導入に向けた論点整理」(2018年9月)の中で、①大学等が求める能力・実績を有する者が必ずしも適切に採用・配置されていない可能性がある②バックグラウンドが多様であるがゆえにパフォーマンスに個人差が生じている③人材育成面で大学間に不均衡があり、継続的な人材供給のための養成システムの整備も不十分④URAの実務能力を測定する指標が欠如し、成果の把握・評価が難しい⑤期間の定めのある労働契約が多くを占め、URAの雇用環境が安定的なものではないといった課題を挙げた上で、質保証に向けた具体的な取組として認定制度を提案し、その意義と導入に関する論点を示している。岡山大学でURA導入に携わり、現在も同制度の普及・定着に取り組む山本進一豊橋科学技術大学理事・副学長は、「導入当初は多くの大学で混乱が見られたが、それぞれに安定的な雇用のための財源確保と認定制度による質保証の確立が課題着実に増加する導入機関数と配置人数URAの業務内容平成25年度科学技術人材養成等委託事業「リサーチ・アドミニストレーターを育成・確保するシステムの整備(スキル標準の作成)」成果報告書(東京大学、2014年5月)内、URAスキル標準より(1)研究戦略推進支援業務① 政策情報等の調査分析② 研究力の調査分析③ 研究戦略策定(2)プレアワード業務① 研究プロジェクト企画立案支援② 外部資金情報収集③ 研究プロジェクト企画のための内部折衝活動④ 研究プロジェクト実施のための対外折衝・調整⑤ 申請資料作成支援(3)ポストアワード業務① 研究プロジェクト実施のための対外折衝・調整② プロジェクトの進捗管理③ プロジェクトの予算管理④ プロジェクト評価対応関連⑤ 報告書作成(4)関連専門業務① 教育プロジェクト支援      ⑥ 研究広報関連② 国際関連支援          ⑦ イベント開催関連③ 産学連携支援          ⑧ 安全管理関連④ 知財関連            ⑨ 倫理・コンプライアンス関連⑤ 研究機関としての発信力強化推進

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