カレッジマネジメント229号
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10リクルート カレッジマネジメント229 / Jul. - Aug. 2021入試改革は高大接続改革であり、高校のカリキュラムも学力の三要素を育てるものにシフトしつつある。次年度から本格実施される新学習指導要領においては、これまでの「総合的な学習の時間」が「総合的な探究の時間」に変更されるなど、大学の学びともつながる「探究」が重要視されている。「自己のあり方生き方と一体的で不可分な課題に取り組む」こととされる探究学習は、高校生のキャリア形成、進路選択にも大きな影響を与えているようだ。──高校での取り組みを大学でも続けていきたいというお話がありましたが、何を探究しているのですか。松原 総合的な探究の時間で、VR(バーチャルリアリティ)を使った授業を作っています。中学生向けの、短い国語の予習動画。これから、実際に中学生に受けてもらう予定です。1つ上の先輩が市内のVR制作会社と組んで、瀬戸高校の広報キャラクターを作る活動をしていたのを見て、先生も作ったら面白いんじゃないかと思ったんです。 コロナでオンライン授業が話題になりましたが、どうせなら自分の好きな先生の授業を受けたいと思って、無料アプリを使って理想のイケメン先生を自分で動かしました。声は、校内でも人気の先生に頼んで入れてもらいました。 自分のやりたいことを提案して、実行に移していくのが楽しくて、ほかにもできることがないか考えたい。せっかく作ったキャラクターだから、もっと活用したいです。──ほかの皆さんの取り組みも教えてください。金重 2年生の時は、学校のある泉大津市の課題について自分達で調べて、改善のための提案をしました。1年間、グループで活動してまとめ、2月に校内でプレゼンするという流れでした。発表会には市の人にも来てもらって、その後、生徒の提案を学校から市役所に渡しているようです。 僕は、医療分野の認知症の課題に取り組む班に入りました。いわゆる「勉強」って感じじゃなくて、一般の人と認知症の人の脳のMRI画像を比較したり、医学的なこともできたのが楽しかったです。認知症は独り身の人に多いので、行政が主導してコミュニケーションの場を設けることや、医師会が一般の人に分かりやすい、認知症についての講演をしてもらうことを提案しました。小笠原 私の行っていた高校は2年生と3年生の時に課題研究という時間があって、論文を書きました。自分で集めたデータを必ず入れる、という条件でテーマは何でもOKです。 飽きないで最後までできるテーマにしようと思って、自分の好きなアーティストがどれぐらい収益を上げているのかを試算しました。ファンにインタビューをしたり、数字が公表されているアーティストとの比較をしました。最後にレジュメとスライドを作って、15分間で発表するのですが、テーマ的にちょっと恥ずかしかったですね(笑)。 志望する学部に合わせたテーマで取り組んで、総合型選抜の武器にした子もいて、今思えば、自分の志望学部に近いものにしておけばよかったかも、と思います。──探究学習を通じて、どんな力がついたと感じていますか。小笠原 高校では最後の論文を2、3日の徹夜で書き上げる子が多く、私もその1人です。2日で1万字書きました。大学では、毎時間レポートを課される授業がありますが、数百字のレポートは苦になりません。金重 30人のグループで、自分が中心になって進めてい高校での探究学習Ⅲ探究学習を通じて自分の力を実感授業だけではなく生徒会でもプロジェクト実行

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