カレッジマネジメント229号
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24リクルート カレッジマネジメント229 / Jul. - Aug. 2021新しい学習指導要領で推進が求められている「主体的・対話的で深い学び」(アクティブ・ラーニング、以下AL)の視点による授業改善の取組体制は、組織として対応している学校が61%であった。この割合は調査を重ねるごとに増え、2014年の21%から約3倍となっている(図表は割愛)。図表8は授業改善に取り組む学校に具体的に状況をたずねたものだ。「今年度までの変化」は【教員】「教材開発や授業設計力の向上」39%が最も高く、以下、【生徒】「学びに向かう姿勢・意欲の向上」37%、【教員】「教員の授業観の変化」36%、【生徒】「主体性・多様性・協働性の向上」34%と続く。1つでも選択した割合は85%で、多くの学校でALの視点による授業改善での変化が実感されている。「次年度以降強化・注力したいこと」(※20年度調査のため21年度以降)では、上位を【生徒】の項目が占める。「思考力・判断力・表現力の向上」59%が突出し、以下「学びに向かう姿勢・意欲の向上」49%、「主体性・多様性・協働性の向上」47%、「基礎的な学力(知識および技能)の向上」45%と続く。「これまで」と「今後」の差で比較すると、【生徒】の「思考力・判断力・表現力の向上」、「基礎的な学力(知識および技能)の向上」の2項目で特に差が大きい。さらに授業改善を推進するための課題としては「教員の指導スキルの向上」「教材開発や授業準備の時間の確保」があげられるものの(図表は割愛)、これまでの【教員】の「授業設計力の強化」や「授業観の変化」の段階を経て、その成果としていよいよ【生徒】の資質・能力の向上を目指す段階に入ったといえるのではないだろうか。無回答そう思わないあまりそう思わないどちらともいえないややそう思うそう思う学びに向かう姿勢・意欲が向上した主体性・多様性・協働性が向上した思考力・判断力・表現力が向上した基礎的な学力(知識および技能)が向上した(%)(n=1079)4.113.317.411.346.234.15.21.352.424.83.20.948.731.04.40.91.71.31.924.754.011.04.61.6そう思う・計そう思わない・計28.715.762.06.069.84.457.67.0図表9 「総合的な探求の時間」への取組による生徒の変化(取組校/単一回答)「主体性・多様性・協働性が向上」は「そう思う・計」が70%●授業で学んだ内容を、放課後に残って理解できていない生徒へ伝える、学び合いの姿勢が育った(北海道/道立)●仮説を立てる上で、分析力や想像力を働かせることができるようになった。情報収集力がついた。自分の意見を持ち、その意見を発表することができるようになった(福島県/県立)●自己肯定感が高まり積極的に物事に取り組む生徒が増えた(宮崎県/県立)Free comment4(%)生徒教員その他0204060次年度以降強化・注力したいこと今年度までの変化思考力・判断力・表現力の向上学びに向かう姿勢・意欲の向上主体性・多様性・協働性の向上基礎的な学力(知識および技能)の向上クラスの雰囲気の良好化教材開発や授業設計力の向上教員間の連携の促進教員の授業観の変化育成したい資質能力に基づくテストを作成教員の発問力が向上教員の学習意欲の高まり生徒理解の深まり教員のコミュニケーション力の高まり校内の雰囲気の良好化その他特にないまだわからない今年度までの変化23.237.333.520.218.538.823.935.610.712.316.221.719.69.50.43.59.2次年度以降強化・注力したいこと58.649.147.344.914.943.432.730.929.225.923.823.723.515.10.40.22.7差(今後-これまで)35.411.813.824.7-3.64.68.8-4.718.513.67.62.03.95.60.0-3.3-6.5※カテゴリーごとに「次年度以降強化・注力したいこと」の降順ソート※差が10ポイント以上高い数値を 色で表示図表8 授業改善への取組による変化(「主体的・対話的で深い学び」の視点による授業改善導入ベース/複数回答)今後は「思考力・判断力・表現力の向上」を筆頭に【生徒】の変化へ注力(n=1104)「主体的・対話的で深い学び」の授業改善で目指したいことは、教員の変化を経て生徒の変化へ

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