カレッジマネジメント229号
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28リクルート カレッジマネジメント229 / Jul. - Aug. 2021泉陽高校は、武田温代校長を先頭に2つの柱を軸に授業改善を進めてきた。1つは「授業力向上プロジェクト」だ。2019年度より、主体的・対話的で深い学びを推進すべく、相互の授業見学や研修を実施。生徒による授業評価も活用し、例えば「自分で考える・発表する場」を教員は増やしたつもりでも、生徒はそう感じていないことなどを検証してきた。もう1つは「高大接続プロジェクト」だ。共通テストや模試の新傾向について、各教科の先生が「分析」と「生徒への発信」を担当。その分析結果を授業に反映させた。実際、これらの取組で社会科の出原小百合先生は「自分の授業が変わった」と感じている。授業見学で他教科の実践に触発され、対話型の授業に挑むようになった。模試分析で「資料を多面的に読み取る力が必要」と感じ、授業でも図表や文献を示し、「気づいたことを教えて」と答えが一つではないことを生徒に問うようになった。「気をつけているのは、対話させること自体を目的にしないことです。その対話を深い学びにつなげるためには、どのタイミングで何を問い、どんな資料を提供すればいいか。『発問』や『資料』を厳選するようになりました」その授業改善は、生徒の変容にもつながったという。「発言の自由度が上がったことで、授業への参加意欲が高まったのです。教科書の語句は暗記していても背景説明は苦手だった生徒が、一つの事柄から重層的で広がりのある知識を紡げるようにもなりました」(出原先生)主体的・対話的で深い学びを推進するなかで、同校の進学実績も向上した。共通テスト以上に、2次試験で結果が出ているそうで、「思考力や応用力が問われるところで力を発揮できているのでは」と先生たちはみている。その入試のあり方については、進路指導主事の野口清隆先生は「高校生がそれぞれの大学の特色をよりつかみやすいものになるとありがたい」と感じているという。「例えば『建築の分野では数学の基礎だけでなく“発想力”“構想力”も必要』というのなら、その点を特色入試などで打ち出してほしいのです。そうすれば主体的に学ぶ生徒ほど目をとめて、距離や地域を越えてその大学を志望する、という動きが出てくるように思います」生徒が深く学べるように授業を多角的に分析知識・技能の習得だけでなく思考力や応用力も発揮するように授業改善事例泉陽高等学校(大阪・府立)授業見学、生徒評価、テスト分析で気づきを得て深い学びの実践に活かす共通テストや模試結果を分析して発信する進路ニュース。生徒への情報提供と、先生たちの授業改善促進の両面を兼ねている。左から、進路指導主事の野口清隆先生、校長の武田温代先生、出原小百合先生授業の1コマ。授業のなかでグループワークや生徒による発表を積極的に行っている。創立1900年/普通科(男女)/生徒数1037人(男子464人、女子573人)/進路状況(2021年3月実績)大学297人、専門学校等5人、就職1人、その他52人授業や探究学習のさらなる進化「入試改革」「新学習指導要領の導入」変化の渦中にある高校現場の創意工夫2

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