30リクルート カレッジマネジメント229 / Jul. - Aug. 2021前段で高校における変化対応力について見てきた。では、大学の対応力はどうなっているのか。今回、以下のテーマに即し、過去に編集部が取材してきた多くの記録を見直し、今回新たに何校か追加で取材を行った。事例を見てみると、変化対応力のある大学は、高校までの教育、大学の建学の精神に根差したあるべき姿、学生の接続先である社会という3つの観点を見据えつつ、注力すべき領域を定めて改革を行っている様子が垣間見えた。つまり、ここでご紹介する事例は、根底としては「高校・大学・社会をつなぐ」という観念が共通しつつ、具体的な施策に関して切り口が異なるのである。各大学の改革を細かく見ていくには紙幅に限界があるため、今回はテーマに即して注目すべき点をピックアップしてご紹介する。詳細をご覧になりたい方は是非、小誌ウェブサイトに掲載の各大学記事をご確認いただきたい。高大接続の入学者選抜http://souken.shingakunet.com/college_m_jirei/cat_31/注目の領域・新増設http://souken.shingakunet.com/college_m_jirei/cat_33/●「自主・自立」を建学の精神とし、「実学重視・人間尊重・未来創造」を理念とした教育を展開する大学●「社会で活躍できる人材が変わる」→「それに対応するために大学教育を変える」べく、社会のリアリティーと学問を結びつける企業連携教育を展開。そこで活躍できる人材を選抜する入試を企業連携で企画●大半の高校で聞かれる「探究とは何か」「生徒の今後にどう役立つのか」といった疑問の声に応えるため、高校で取り組む探究の延長線上に位置づけられる入試を構想●入試の背景にある企業連携教育・「授業で一方的にインプットするだけでは通用しない時代を生き抜く学生を育てたい」との狙いで、社会のリアリティーと連携させるべく2014年から企業連携「3.5本の矢プロジェクト」に取り組む・趣旨に賛同する企業と学生のコラボレーションで企画を立案・設計するプロジェクトを多く推進・現在は全員必修の「達観シリーズ」と称する企業人の哲学や思考にスコープを当てた企画へと展開が広がっている●高校の探究活動の先にある入試を創ることが大学の価値創造の担い手を育成することになるという設計●入試のブレインストーミングで問う「協働」のマインドは社会で必要とされるものであり、社会を反映した教育にも必須の素養であるというカレッジレディネスの定義●高校の教育改革のベースが揃う2024年までじっくり入試を育て、大学のブランドとして構築していく意向社会の変化に対応した大学教育を展開する大学として、そこで必要となる素養をIRで分析し、その素養を評価できる入試を新たに設計した。小手先の方法論として入試を変えるのではなく、まず企業と協働して教育を変えたことに意味がある。高校の探究学習を推進しても大学入試にはつながらないのではないかという高校現場の不安を汲み取る動きでもある。高崎商科大学が考案するのは、2022年度から本格化する高校の探究活動の先にある入試である。高崎商科大学 総合型選抜(探究・ブレインストーミング型)Case① 入試検討経緯注目すべきポイント前後の接続領域の変化を見据え改革ドメインを見定める大学の変化対応力3カレッジマネジメント編集部鹿島 梓
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