カレッジマネジメント229号
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34リクルート カレッジマネジメント229 / Jul. - Aug. 2021関連して、文部科学省「学習指導要領の改訂のポイント」によると、今回の改訂では、知識の理解の質を高めるために、「何のために学ぶのか」という学習の意義を共有しながら、授業の創意工夫や教科書等の教材の改善を引き出していけるよう、全ての教科等を以下3つの柱で再整理している。①学びに向かう力・人間性の育成(学んだことを社会で活かす)②知識・技能の習得(社会で生きて働く)③思考力・判断力・表現力(未知のことにも対応できる) こうした高校教育を受けてきた生徒が大学に入学した時、高校での学びをさらに発展させるような内容ならば、そしてそれを支援する体制が構築されていれば、高大の学びは比較的シームレスに接続されることであろう。大学は探究的な思考や学び方、カリキュラムマネジメントされた高校教育とうまくつながるように、大学教育を設計する必要があるだろう。ここでは、高校での探究学習を踏まえた高次の挑戦がしやすいように設計された好事例をご紹介する。出典:文部科学省HP●開学以来、「高度な語学運用能力」「グローバルに通用するコミュニケーション能力」を中心に高い評価を得てきた教育●30周年を迎えたことを機に長期的な生き残りを見据え、これまでの基盤を活かし、より高次の課題に取り組む●建学の理念「言葉は世界をつなぐ平和の礎」を体現する学部・学部コンセプト“Global Liberal Arts for Peace” ・未解決のグローバルイシューに挑む人材を育成する●1年次と3年次の2回の留学と、3つの分野から成る専門教育で構成されたカリキュラム・「世界の課題の最前線を体感」し、「学修意欲を喚起する」ための留学を1年次に実施。まず最前線に学生を送り、そこで生じた「問い」を学びの軸とするオーダーメイド教育・Humanities(人間と文化)、Societies(社会と共生)、Global Studies(グローバル・スタディーズ)の3つの異なる分野からグローバル社会の課題を多角的に捉える専門教育・3年次後期には全学生がニューヨーク州立大学に4カ月長期留学し、現地の学生と共に自らのテーマについて学びを深める高校の探究学習との違いとして、大学ならではの高次で段階的なフィールドが用意されること、問いの検証において学問的専門性を付与・実践されることが挙げられる。高校の探究学習の高度化ともいえる教育システムである。GLA学部は大学創立30周年を迎えたことを機に設置された新学部である。その優れた設計力にも注目したいところだが、今回は「高校での探究学習からの接続」という観点でGLA学部を俯瞰したい。神田外語大学 グローバル・リベラルアーツ(GLA)学部検討経緯注目すべきポイントCase② 教育

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