カレッジマネジメント229号
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38リクルート カレッジマネジメント229 / Jul. - Aug. 2021──高校の教育改革の状況を、どう捉えていますか?アクティブラーニング(以下AL)による授業改善の取り組みに大きく影響を及ぼしたのは学習指導要領の改訂だと思います。現場では新学習指導要領によるプレッシャーは想定以上。そもそも高校においては大学進学率の高い学校を中心に、教科・科目の指導以外、学習指導要領を自分たちのものだと明確には捉えてこなかった実情がありました。そんななか、教育委員会や学校全体として、学習指導要領に基づいた改革をしないという選択肢はなくなったというのが今回の流れです。次に、高校にプレッシャーを与え改革に影響を及ぼしているのは「観点別評価」です。これまでテストの点数で通知表をつけてきましたが、今回の学習指導要領においては、資質・能力の3つの柱を生徒一人ひとりについて評価する必要があります。指導要録として記録し、都道府県に提出したり生徒にフィードバックできる形にしたりする。調査書の形で大学に提出できるようにもする。もはやいい加減にはできません。元となる4観点評価は20年前から導入されていますが、しっかりと実施していた普通科、進学校の高校は少ないはずです。主体的に学習に取り組む態度の評価は、観点別評価の難点の一つと言われていて、各所で議論が盛んになされています。私も県立高校等からたくさん相談を受けています。加えて変革に向けて動いていなかった高校に揺さぶりをかけたのが、コロナ禍とICTへの対応です。新学習指導要領に基づく教育改革に対応しようとする高校は、時代の転換点、社会の転換点に向き合えている学校でもあります。ICTへの投資はお金がかかりますし、今回のコロナ禍においても、教育委員会等がオンライン導入に後ろ向きなケース等の課題がありました。それでも、そのような高校は組織マネジメントと校長のリーダーシップが行き届き、前向きに取り組みました。コロナ禍の中、ICT導入等の改革を加速させ、自信をつけたのです。──2020年は入試制度改革元年とも言われていましたが、その影響はどうだったでしょうか?学力の中間層にある高校生達は、自学自習が弱いので、学校が休業になった昨年4月頃からの3カ月は十分に学習できなかったようです。普通なら、3年の学習を進め基礎を確認し、夏休みに問題を解きながら模試の点数を上げていくわけですが、勉強を始めたのは7月に入ってから。不新学習指導要領と観点別評価が大きく影響入試改革より大きい、コロナ影響学修者本位の教学マネジメント体制にどう取り組むか─それがコロナ禍によって明確になった大学の課題溝上慎一氏学校法人桐蔭学園 理事長桐蔭横浜大学 学長・教授 京都大学博士(教育学)。1996年に京都大学助手に。同大講師、助教授(のち准教授)、教授を経て、2018年9月より現職。専門は心理学(現代 青年期、自己・アイデンティティ形成、自己の分権化)と教育学(生徒 学生の学びと成長、アクティブラーニング、学校から仕事・社会へのトランジション等)。著書に『高大接続の本質 ―「学校と社会をつなぐ 調査」から見えてきた課題―』(学事出版、責任編集)ほか多数。転換期となった2020年以降のポストコロナの時代において、大学は何を重視し、どのように進化・変化を目指していくべきかについて話を伺った。Interview4

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