カレッジマネジメント229号
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40リクルート カレッジマネジメント229 / Jul. - Aug. 2021世界的なコロナウイルス感染症の収束が見込めない中、我が国においても、10都道府県が緊急事態宣言下にある(5月末時点)。各大学等においては感染予防対策の徹底や授業実施方法の工夫など、全力で学生の学習機会の確保にあたっていただいていることに先ずもって感謝申し上げたい。文部科学省としても、新型コロナウイルス感染症対策の基本方針や留意事項についてお知らせしているので、それらを参考に、関係各位の引き続きのご尽力をお願いしたい。現在、我が国の大学進学率は50%を超えており、少数エリートが通っていたかつての大学のあり方とは大きく異なっている。18歳人口が大幅に減少し、いわゆる大学全入時代となった今、従来型の「入難出易」の大学教育モデルが維持できない状況になるとともに、これまでの雇用慣行を見直す中で、ポテンシャル採用からジョブ型採用への転換や、学修成果を活用した採用活動が広がりをみせ、これまで以上に、大学における学修が重要視されつつある。そのような状況下において、依然として、大学生の学修時間が少ない状況が続いている(東京大学の調査によると過去十年間、1週間の学生の授業外学修時間平均は6時間程度で推移している)。このため、成績評価の厳格化や卒業認定の基準の明確化・管理により、卒業時の出口保証を徹底しようという機運が高まり、中央教育審議会から平成20年に「学士課程教育の構築に向けて」(答申)や平成24年の「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて」(答申)等が示された。ここでは、学士号に保証される能力の内容を定義し、その内容を身に付けるための具体的な取組例として、「学位授与の方針」や「教育課程の編成・実施の方針」に基づき、「教学マネジメント」を確立させ、学位プログラムごとに、教育の質保証を行っていくことが求められてきた。平成30年の「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」(答申)でも同様の課題が指摘されていたものの、大学教育改善に関連する手法等は、教学マネジメントの観点からは、一元的に整理されたものとなっていなかった。このため、教学マネジメント指針の策定により、大学運営のあり方において、教学マネジメントをシステムとして組み込むことを提言するに至った。教学マネジメントは「大学がその教育目的を達成するために行う管理運営」と定義できる。教学マネジメント指針は、「三つの方針」(特に「卒業認定・学位授与の方針」及び「教育課程編成・実施の方針」)に基づき、「学修者本位の教育」への転換を図るための教育改善に取り組みつつ、社会に対する説明責任を果たしていく大学運営、教学マネジメントが図1(「教学マネジメント指針」概要)で示したようなシステムとして確立している状態に向け、各大学の真剣な検討と取り組みを促すことを目的として策定された。その各論について、以下を参照されたい。Ⅰ 「三つの方針」を通じた学修目標の具体化三つの方針は教学マネジメントの確立に当たって最も重要なものであり、以降のプロセスも全て三つの方針、とりわけ「卒業認定・学位授与の方針=ディプロマ・ポリシー」を軸として実施される必要がある。そのため、各大学は「卒業認定・学位授与の方針=ディプロマ・ポリシー」が学生の学修目標及び卒業生に最低限備わっている能力の保証として機能するよう、それぞれの大学の強寄稿教学マネジメントの必要性及び背景教学マネジメントの概要「学修者本位の教育の実現」に向けた教学マネジメントの構築西 明夫文部科学省 高等教育局 大学振興課 大学改革推進室長

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