43リクルート カレッジマネジメント229 / Jul. - Aug. 2021てくるので、今後の大学教育において教学IR体制を確立・強化することが重要である。例えば、事例集でも取り上げている山梨大学においては、学長のリーダーシップの下で、強力に教学IR機能を高めるために、学則で教学データを扱うことが規定されている。また上記で獲得した教学データを分かりやすく社会に情報公表していくことが必要である。就職活動でも、学生の学修成果を活用する企業が年々増加している。しかし、まだまだ大学によって情報の開示方法がばらばらであり、活用しづらいという課題がある。GPAで評価をしようにも、大学ごとに成績の付け方が異なることや、実際の成績分布がどうなっているのかもわからない中では、相対的に優秀かどうかを企業としても見極めることが困難という指摘もされている。これらの取組を実施する上で、学長のリーダーシップが決定的に重要になる。特に学長は「学部等の学内組織の縦割りを超えて、学部横断的な共通基盤を創ること」や「大学全体、学位プログラム、授業科目レベルの各取組間の整合性を確保し、必要な指示や報告、情報が円滑にやりとりされる環境を構築」するなど、学長のリーダーシップや権限が不可欠な課題から取り組むべきである。例えば、各学位プログラムレベルで、カリキュラムマップを作成し、授業科目を精選し、真に必要な科目を絞り込むなど、大規模な開設授業科目を整理する際には、学長がリーダーシップを発揮し、各学部の教授会を説得することなくしては実現できない。文部科学省としても、こうした取組を推進するために、今年度より知識集約型社会を支える人材育成事業メニューⅢ「インテンシブ教育プログラム」を新設し、学長のリーダーシップの下、科目を精選・統合し、短期集中で学修を完結させ、各学期で「何を学び、何を身に付けることができたか」を学生が認識できるような「学修者本位の大学教育」への転換に向けた取組を支援しており、我が国の大学において、教学マネジメントの確立が推進されるよう取り組んでいる。令和2年1月に「教学マネジメント指針」が策定されてから、約1年半が経過しようとしている。昨年度は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、直接現場と意見交換を行う場を設けることができなかったが、昨年度、文部科学省が実施した「教学マネジメントの確立に資する事例の把握等に関する調査研究」を実施する過程で、各大学において教学マネジメントを確立するための様々な取組が進められていることを確認することができた。コロナ禍において、より質の高いニューノーマルな大学教育の実現を目指すべく、中央教育審議会や教育再生実行会議で御議論をいただいており、そうした新たな教育手法を効果的に取り入れる前提として、教学マネジメントがシステムとして組み込まれ、教育プログラムを実施する土台が確立していることが求められている。具体的には、遠隔授業を導入する際、カリキュラムの中で、どのように位置づければ効果的なのかを検証し、効果的な教育課程を編成することが求められている。教学マネジメントを確立し、しっかりと学生の学修の質保証を図ることが、各大学の強みや特色をさらに伸ばすことにもつながる。各大学の特色を生かしながら「卒業認定・学位授与の方針」を策定し、「何を学び、何を身に付けることができたか」に関する客観的な教学データを学生に提供し、学生が自信を持ってそれを社会に説明できるようにする。そして、企業側でも採用にあたって、しっかりと学修を評価するという相互の好循環を生み出すことが、これからの大学教育の質保証の在り方と考えられるのではないか。事例集や動画集については、下記リンク先に掲載しているので、是非御覧いただきたい。これらを参考に各大学における取組が加速することを大いに期待している。※なお事例集・動画集は以下のリンク先より御覧いただきたい。https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/1411360_00001.html※1教員が授業内容・方法を改善し向上されるための組織的な取組の総称。※2職員全員を対象とした、管理運営や教育・研究支援までを含めた資質向上のための組織的な取組を指す。学長のリーダーシップ教学マネジメント確立に向け、事例・動画集を作成ポストコロナ期における新たな大学教育への期待と教学マネジメント指針
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