カレッジマネジメント229号
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48リクルート カレッジマネジメント229 / Jul. - Aug. 2021う場面でも、うまく教職協働が機能していると感じています」(宮永学長)。事務職員が授業改善にも積極的に関わるのは、私立大学の名残かもしれないと、宮永学長は言う。吉本キャリアセンター長も、「確かにキャリアセンターも、学生一人ひとりに対してきめ細かに指導する体制を、職員教員が非常によく連携してやっている。こうした私立の良さを、公立になっても失わないようにしていくのが、1つのアピールポイントと思っております」と語る。キャリア支援については、キャリアセンターに限らず全学的な協力体制をとっているものの、若い大学なのでOBOG組織が小さい、企業とのネットワークが十分発達していない等の課題が明らかになっている。「学生の出身地はほとんど北海道ですが、卒業生の約7割が首都圏で勤めている。それを踏まえて、東京のOBOG会と強く連携をして、就職の斡旋も含めて、体制を整えていこうと、公立化にあたり、千歳市と合意しています。ただ、とはいえ開学からまだ20年強ですので、卒業生は企業の第一線で忙しく活躍されており、組織化というところでは苦労しています」(吉本キャリアセンター長)。公立化して3年目での成果としては、学生募集状況の改善がある。私立大学時代は1倍を切ることもあった入試倍率が、公立化以降は3倍程度となっており、経済的な面も含め、期待値の高まりを感じると宮永学長は言う。学生の出身地は、8割以上が道内の学生と、公立化前後で大きな変化はない。7割が首都圏で就職する状況のほうはどうだろうか。吉本キャリアセンター長は「その傾向はより強まるという見方が一般的」としつつ、この度のコロナ禍で、また違った風が吹くという考え方もあるとし、世の中の動向を見ながらキャリア指導をしていきたいと語る。「少なくとも今就職活動をしている4年生に関しては、4割から5割は道内志向と、非常に道内の希望が高くなってきています。コロナの影響による一時的な傾向なのか、今後持続的になっていくのかはまだ分かりませんが、うまく地元企業とマッチングが取れるようになれば、新しいネットワークができるのではないかと期待はしています」(吉本キャリアセンター長)。今後の取り組みは、公立の理工学系大学としての研究力強化が軸になると宮永学長は言う。「理工学の分野では、ある技術製品を千歳地区の企業が開発したとしても、世界中の企業との競合になります。つまり、グローバル競争に耐えうる研究力強化が重要です。基本的な取り組みとして、教員の拡充が必要だと考えています。また、自分達の大学だけでは限界があるので、広く国外の大学と連携をして国際的な共同研究を進めたいと考えています」(宮永学長)。留学生の数を増やすことも考えているという。「若手の技術者がこれからグローバルに活躍していくことを考えたとき、大学時代から、北海道の学生ばかりでなくて、ワールドワイドないろんな考え方を持ち、いろんな言葉を話す学生がまわりにいることはとても大事です。実績が少ないので、これからの話ですが、大学院を中心に、定員の1割から2割ぐらいは留学生になると良いかなと思っています」(宮永学長)。同時に、大学院への進学者数増加や、大学院教育の充実も重要課題としている。4月末には、道内の4高専と包括連携協定を締結。従来非常に少ない、高専からの編入学生や高専専攻科からの大学院進学者等を増やすことを意図したものだ。これらの研究力強化とグローバル化推進は、公立化のもう1つの狙いである「地域連携」にもつながる。「千歳市は全国もしくは世界からの企業誘致を積極的に行っており、その企業と本学が共同で『光科学を切り口にした異分野連携研究・開発』を行う構想です。この地域連携は、千歳の地産地消や千歳のためだけではなく、その成果を日本及び世界にフィードバックするという方向性で、地元自治体と本学とでよく一致しているところなのです」(宮永学長)。公立化で学生募集状況が改善研究力強化とグローバル化の推進を目指す卒業生の組織化が課題(角方正幸 リアセックキャリア総合研究所 所長)

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