で8棟の新築、2棟の増築、5棟の耐震化工事を実現した。本稿で紹介する新E校舎は第二次整備計画の締め括りとなる事業である。キャンパスのどこかで常に工事が行われている状況は、在学生にとっては騒音や埃、通行に支障のある迷惑な空間でしかない。そのような認識を肯定的に変化させるため、建築現場で学生が学ぶキャンパスプロジェクトを推進している。課外活動の位置づけではあるが、工事現場の見学や建築のプロから話を聞くだけでなく、特定の空間を題材に活用方法を提案することも課題としている。2017年竣工の図書館新築工事では学生からの提案にもとづいてカフェを整備し、完成後の運営についても学生が行っている。新校舎においても、学生食堂に求める機能等についてグループワークを行っていたが、コロナ禍の影響により最終的な提案を策定するには至らず、設計者において食堂の空間作りコンセプトに学生の意見を取り入れて整備を行った。2018年着工の新校舎はコロナ禍前の設計であり、その影響が分かり始めた時点では既に内装の施工段階まで進んでいた。そのため感染症対応の抜本的な改修は困難であったが、京都女子大学のキャンパスは京都市東山区に位置し、清少納言が枕草子においてその美しさを讃えた阿弥陀ヶ峰の山麓に広がっている。周囲を寺社仏閣に囲まれた環境にあるため、京都市の厳しい建築条例の規制を受け、建て替えた場合には規模を3分の2程度に縮小する必要が生じる。また敷地の拡張も難しいため校舎の建て替えが進まず、老朽化・耐震化が課題となっていた。2010年に隣接地約800坪を取得したことを機に、校舎のローリングを含むキャンパス整備計画を策定。新学部設置に伴う校舎の新築や耐震化に取り組みはじめ、以降10年間60リクルート カレッジマネジメント229 / Jul. - Aug. 2021学生食堂は3つの空間で構成され、学生の利用目的に応じて使い分けることができる。敷地の高低差をうまく利用した地下空間。フロアごとに異なる内装のパウダールーム。10年続くキャンパス整備学生主体のキャンパス作りwithコロナ時代のキャンパス整備
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